「破壊王ビルズ」というキーワードは渡辺雄介さんのアイデア
拡大画像表示

「こんなストーリーにしたいですというのを、鳥山先生に見せて戻ってきたものが、もはや脚本のような仕上がりでした(笑)。最初はちょっとシリアスな感じで「善と悪」や「ヒーローとは」みたいなテーマを考えていたんです。でも鳥山先生は、震災以降、悲惨な話じゃなくて、友情や仲間、ポジティブで前向きな話にしたい、むしろコメディがいいという想いが強かったようで、それがストーリーになって表れていますね。まさに、「これが、ドラゴンボールだな」と。俺は何やってたんだろうと(笑)」

その過程では、実写とアニメ作品との脚本の違いにも改めて気づかされる場面が多かったという。

「もう、全然違いますね、情報が。同じ台本でこれを実写化したら3時間くらいになると思う。同じ言葉を発するでも声優さんのほうが早いし、もちろん動きもアニメのほうが早いし。岩が壊れるシーンとかも実写だとすごい時間かかるところが、一瞬ですし。実写は人間ドラマというか役者さんの表情で語れたりする部分が多いと思うんですけど、アニメはその情報量を想像力で補っているんだな感じました」

ベジータは「ドラゴンボール」の裏主役だと思っている


すでに告知されている通り、今作にはこれまで「ドラゴンボール」の世界を彩ってきたさまざまなキャラクターが総出演する。渡辺自ら、『みんな酒が入ってるからしょうがないんですよ(笑)』と語る通り、オールスターキャストが繰り広げるお祭りムード満載の掛け合いは見どころのひとつだ。特にアノ人物には要注目だと言うが……。

「僕はベジータって「ドラゴンボール」の裏主役だと思ってるんですよ。連載は違うんですけど、完全版のコミックでは最後のコマがベジータで終わってるんですよね。そのベジータが今回は七転八倒するので。『ベジータ、成長したな~』みたいな」

一方、現場のスタッフたちの多くが、アニメ版「ドラゴンボール」の経験者だったというのも、本作に大きく影響している。長年培ってきたキャラクターへの想いや、テクニックは、時代を経ても変わらず作品に活かされており、特に、リアルタイムで体験した30代ぐらいに大人にとってはノスタルジックな感傷さえ湧いてくるほどだ。