「ドラゴンボールってわくわくするのがテーマだと思うんです。子供のころ、わくわくしながら観てて、脚本もわくわくしながら書いてて、しかもそのわくわく感をいろんな人が持ってる。親子で映画を観に行って、お父さんが子供に説明してあげたりとかいいですよね。なんでクリリンがこの髪の長さなのかとか(笑)」
しかし、世界的に人気のある作品に携わることへのプレッシャーは計り知れない。公開直前のこの時期、渡辺はちょっと困った事態に嬉しい悲鳴を上げている。
「TwitterやFacebookを介して、いろんな問い合わせが僕のところにきちゃうんですよ。その都度丁寧にお答えしてるんですけど、追いつかないですね。コロンビアとかからも来てますから(笑)」
この反響の大きさは、そのまま「ドラゴンボール」というコンテンツの偉大さを物語っている。世界中で多くの人が待ち望んだ企画であり、早く目にしたいという期待の高まりは、すでに海を超えて世界にまで広がっているのだ。「公開延期とかしないですかね。公開しちゃうと終わっちゃうから(笑)」という渡辺の素直な感想は、「映画を早く観たい」と思う気持ちの一方、どこか複雑なファンの心情ともリンクする。
「みんな「ドラゴンボール」ファンじゃないですか。「ドラゴンボール」が嫌いと言う人にはあまりいないんじゃないかな。そういう意味でも、本作は親子でも友だち同士でも、いろんな人と観に行ってほしい。描かれてない部分を話しながら想像力で埋めたり、特に大人の方は昔のことを思い出しながら童心に返って観てほしいですね」
『あの熱をもう一度!』と挑んだ、誰も観たことがない「ドラゴンボール」
幅広い世代に支持されている作品であり、さらに17年ぶりの新作映画と、これ以上ない大舞台の上で公開を待つ本作だが、その出来上がりはいい意味で『不真面目』なもの。さまざまな気負いやプレッシャーをはねのけ、大人たちが『あの熱をもう一度!』と挑んだ、そんな心意気が伝わってくる内容になっている。おそらく、本作はこれまで誰も観たことがない「ドラゴンボール」であり、同時に誰もが観たいと思っていた「ドラゴンボール」。その全貌を多くの人に見届けていただきたいと、切に思う。
『ドラゴンボールZ 神と神』 3月30日(土)全国公開 [https://www.dragonball2013.com/]
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