アニメーション監督・新海誠が今年商業デビュー15周年を迎えたことを記念し、現在、『新海誠展ー「ほしのこえ」から「君の名は。」までー』が東京・国立新美術館にて開催中です。
作品の世界観をリアルに楽しめる仕掛けあり、ファン垂涎のお宝あり、長年の新海ファンから『君の名は。』で初めて作品に触れたという方までまるっと楽しめる展示の見どころをご紹介します。
国内の興行収入が250億円を突破、世界規模の興行収入では日本映画歴代1位と驚異的な記録を打ち立てた『君の名は。』。みなさん、もちろん観ましたよね!
男女の入れ替わりの裏に隠された真実、そして時空を超えて惹かれ合うふたりの姿に多くの人が夢中になりました。
手がけたのは新海誠監督。2002年に短編アニメーション『ほしのこえ』で商業デビューを果たし、これまでに『雲のむこう、約束の場所』や『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』などの作品を世に送り出しています。
今回の展覧会ではこれらの作品にまつわる制作資料を約1000点(初公開含む)展示するほか、新海監督のバックボーンや世界での反応なども詳しく解説。新海監督の15年間の軌跡が余すところなく詰め込まれています。
その1:圧倒的映像美の裏側
新海作品の魅力と聞かれて、多くの人が思い浮かべるのは圧倒的な映像美ではないでしょうか。
今回の展示ではあの美しい映像がいかにして生まれるのか、制作の裏側が公開されています。例えば、ロケハン時の写真と作品の中で描かれた風景を比較したり、1枚の画が出来上がるまでの過程を順に並べてみたり。
作品ごとの絵コンテなども多数ありますが、該当箇所の映像も併せて展示されているので、新海作品をあまり観たことがなくても十分楽しめます。
また、デビュー当時はほぼひとりでアニメ制作をしていたという新海監督が、信頼できるチームを得て、制作過程がどんどん効率的に緻密になっていく様子も手に取るようにわかります。
まさに作品ごとに進化を遂げていたんですね。個人的には、絵コンテやキャラの作画に書き込まれた「◯◯よろしくお願いします!」といった丁寧な指示に、監督の人柄を感じられてうれしくなりました。
その2:知られざるバックボーンに触れる
新海監督のデビューから15年の歩みを振り返るという企画らしく、作品のみならず監督自身をフィーチャーした展示にも注目したいところ。
デビュー当時に使っていたPCや当時のインタビューが掲載されている雑誌など、貴重な資料の数々は今見ると感慨深くもあります。
また、ゲーム『イース2エターナル』のオープニングムービーや、短編作品『彼女と彼女の猫』など、デビュー前の作品を観ることも。現在の作品にも通じる表現が随所に発見できるので要チェックです!
そのほか、監督が影響を受けた本や生まれ育った長野県小海町の風景など、パーソナルな部分に触れる展示も印象的でした。
その3:音声ガイドで楽しみ倍増
昨今の美術展のに欠かせない存在となっているのが音声ガイド。
『新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』では、『君の名は。』の主人公・立花瀧を演じた神木隆之介さんがナビゲーターを務めています。
実は神木さんは作品に携わる前から新海監督の大ファン! そんな神木さんだからこそ語れる視点でのお話は、かなり聞き応えのある内容です。
もちろん、作品解説もたっぷりしてくれるので、聞きながら展示を見て回るだけでもOK。また、クイズがあったり、あるポイントでは隠しトラックが再生されたりと、プラスアルファのお楽しみ要素も。
音声ガイドは有料(550円税込)で、受付で貸し出ししています。