リアルタイムでイラストを”リミックス”!
続いて行われたのは、プランニング・プロデューサーの手塚るみ子さんを迎えてのトークショーです。るみ子さんは’89年に父である手塚治虫を亡くした後、この先の世代に”作家・手塚治虫”を継承したいとの想いを抱き、若者向けに手塚ワールドをプロデュースする活動を開始。その活動の中で生まれたのが、代表作『火の鳥』をモチーフとした音楽アルバム『Phoenix』です。そこでコラボレートしたアーティスト・システム7のスティーブ・ヒレッジさんがトークショーに飛び入り参加しました!
「最初は1曲だけという話だったが、オファーを受けて『火の鳥』を読んでみたら自分の音楽と共通する点がとても多く、ぜひアルバムを作ってみたくなった」とスティーブさんが語る通り、時空を超えて手塚マンガとテクノ・ミュージックが融合した作品となっています。会場では美しいCGによるPVも上映されました。このプロジェクトは現在も続いており、ROVOを迎えて新たなコラボを行い『火の鳥』の世界観をさらに掘りさげたアルバムが9月にリリース予定とのこと。これは楽しみ!
「どんなにテクノロジーが発展したとしても、人間の心しだいでいい方にも悪い方にも使われる。その中で、いかに人間が成長していくか。これが手塚作品に込められたメッセージだと思います」るみ子さんはこう語りました。まさに最先端のテクノロジーが集う秋葉原という街にとっても、手塚作品の持つメッセージがいまなお意義深いものであることを再確認しました。
続いて登場したのはJohn Hathwayさん。いわゆる”萌え系”なキャラクターが登場しつつ、萌え絵のフィールドに留まらない緻密に作りこまれた世界観が人気を獲得しているクリエーターです。彼のパフォーマンスは画像編集ソフトPhotoshopを使用して、リアルタイムでイラストを”リミックス”するというもの。どういうことかと言うと、膨大な枚数のレイヤーによって構築された複数枚のイラストから、人物の顔や手足、背景や効果などを自在に入れ替えミックスし、まったく新しい作品を作りだしてしまうのです。
ふだんは完成品でしか見ることができないハイクオリティなイラストが目の前で解体・再構築されていくさまに、知的好奇心がザワザワ! 「絵を分解するなんて、そんなことしちゃっていいの……?」と、なぜか背徳感も少し感じてしまったり。
昔あるイラストレーターが会場にお客さんを入れて、ステージで絵を描くだけのライブをやったという話を聞いたことがありますが(それはそれで面白そう)、そのハイテク版という感じでしょうか。当日は機材の不調などがあったようですが、非常に興味深いパフォーマンスでした。今度はもっと高解像度のスクリーンでじっくり見てみたい!