声優アーティストのトップランナー・水樹奈々が、2年4ヵ月ぶりの有観客ライブ『NANA MIZUKI LIVE RUNNER 2020 → 2022』をさいたまスーパーアリーナで1月3・4日に開催した。
スタジアムライブ、オリコン1位、紅白歌合戦出場と数々の“声優初”を切り拓いた歌手デビュー20年の軌跡を振り返りつつ、その先の未来へ向かう意図が込められた公演だった。
1月21日には4日の公演のライブ配信も行われ、アーカイブ配信も今月30日まで視聴可能。なぜ水樹奈々が多くのオーディエンスを魅了し続けるのか。その答えが散りばめられたようなステージは、何度でも観る価値があるだろう。
841日ぶりのステージ、「攻めてこそ水樹奈々のライブ!」
2020年、水樹奈々は歌手デビュー20周年を迎え、過去最多の全17公演に及ぶツアーが予定されていたが、コロナ禍ですべて中止になった。ファンはもちろん、彼女自身も待望だった今回の2Days。有観客では2年4ヵ月、841日ぶりのライブとなった。
水樹奈々のライブといえば熱く飛ばすのが真骨頂だが、2年を経て世の中も自身の環境も変わった中で、変化はあるのか? 事前に「今回のセットリストは攻撃的」と話していた通り、1曲目から高速のシンフォニックデジタルロック『Synchrogazer』で幕を開けた。ステージ2階に姿を現し、超ハイトーンのファルセットで颯爽と歌い出す。
2012年のリリース時は、どこでブレスをしているのかと思うほどの爆走感が驚きだったが、その後、激しく速い路線はさらにエスカレート。相対的に「今となってはかわいいもの(笑)」と水樹が言う曲になり、この日も熱は込めながら余裕を感じさせた。
序盤は以後も、炎が噴き上がる演出が定番の『ETERNAL BLAZE』などロックチューンをたたみ込みつつ、ヴォーカルは伸びやか。軽く投げても剛速球がバシバシ来る感じだ。
「じっくりお届けするバラードゾーンがあってもいいんじゃないかとか、いろいろ考えたんです。でも、攻めてこそ水樹奈々のライブ! しかも841日分の想いが詰まっていたら、飛ばしていかなきゃいけないでしょう!」
MCで高揚気味に話した水樹。手練れのベテランミュージシャンを揃えたバックバンド・Cherry Boysの重厚なサウンドに乗り、巨大なさいたまスーパーアリーナの奥の席にまでグイグイ迫ってくるような歌を聴かせる。その中で<なんでなんでなんでなんでなんで>と繰り返す『glitch』など、歌詞の情感もしっかり伝えていた。
レトロポップな衣装に着替えると、ロカビリー調の『Knock U down』からはキュートなナンバーを続けていく。笑顔を浮かべて軽やかに、『Lovely Fruit』ではアイドル風の振りも付けて和ませる。
こうした曲では年齢を重ねてもキラキラした歌声を聴かせられるのは、声優ならではかもしれない。そのうえで張りのある歌いっぷりは、シャレた大人のかわいさも醸し出していた。この辺は特に水樹の表情にも、配信では注目して見たいところ。