ライブ終盤! 圧巻の迫力、そして深い感動へ

ラストスパートは『Get up! Shout!』から、さらにギアを上げる。爆発的にエネルギッシュで、ステージから突風が吹いてくるかの勢い。だが、水樹は軽々と飛ばしていき、歌の強い波長が心地良かった。圧巻の迫力は配信の画面越しでも伝わりそうだ

そして、本編最後はピアノから始まるラブバラード『ALL FOR LOVE』。<そばにいて それだけで 他に何もいらないよ>というこみ上げる想いをミックスボイスで歌い上げ、ドラマチックなフィナーレとなった。

アンコールでは、『LIVE RUNNER』だけに長さ277cmのスニーカーを模したトロッコに乗り、アリーナの外周を回りながら『No Rain, No Rainbow』に定番曲『POWER GATE』と歌っていく。ステージに戻るとセンターまで走って、ジャンプも決めて、躍動感が最後まで漲っていた。

自身が作詞・作曲した『UPSETTER』の明るい余韻が残る中、締めは「モヤモヤしたこの時代をぶち壊して、輝く扉を開いていける曲」と告げた『VIRGIN CODE』。10枚目のアルバムの1曲目に収録された疾走感溢れるロックだ。

2014年の横浜スタジアムのライブではプロペラ機に乗って登場して歌ったりと、水樹のライブを彩ってきた。この夜もステージを上手へ下手へと走ってはシャウトし、体の中から勇気を呼び起こされるようだった。

さらに、Wアンコールに応えたのが『深愛』。2009年に『紅白歌合戦』に初出場したときも歌ったバラードで、「言葉にできない溢れる想いがたくさんありますが、この1曲にすべて込めさせていただきます」と、手を胸に当てて染みわたる熱唱を聞かせた。ぶっ飛ばしてきたライブの最後に、深い感動が残った。

2年4ヵ月の間に世の中は変わった。これからどうなるかもわからない。でも、水樹奈々がライブに戻ってきた。以前と変わらない熱さで、以前よりも軽やかに。それがこの時代にどれだけ力をくれるものか、実感するステージだった。

新作アルバムや夏のツアーも発表されて、水樹奈々はまた進んでいく。彼女の音楽に触れてきた者として、その勢いに乗っていきたいと思わずにいられなかった。

本公演の1月21日のライブ配信では、アーカイブ視聴も30日まで可能。「今年は最高に弾けられる幸せな時間をたくさん作っていきたい」と話した水樹奈々の、息吹き溢れるリスタートは必見だ。

写真:上飯坂一 高田真紀子

『NANA MIZUKI LIVE RUNNER 2020 → 2022』配信概要

・アーカイブ配信

2022年1月30日(日)23:59まで

アーカイブ配信チケット・1月30日(日)18:00まで発売中!

・チケット料金
[一般チケット] 3,900円(税込) ※配信メディアにより各種手数料がかかります。
[アフタートーク付きチケット] 2,900円(税込)

※アフタートーク付きチケットはPIA LIVE STREAMで販売。※10月27日(水)発売「Get up! Shout!」に封入の購入用シリアルが必要。

オリコンで音楽誌編集部勤務などを経てライター&編集者(&旅人)に。女優、声優、アイドルのインタビューやテレビ・映画評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。「Yahoo!ニュース」オーサー。埼玉県朝霞市出身。