現在、日本各地で、スウェーデン文化交流協会主催による、育休を取ったパパたちの写真展「スウェーデンのパパたち」が、巡回開催されています。
赤ちゃんと幸せそうに眠るパパや、子どもと一緒に過ごした一日の終わりにちょっと疲れた顔のパパが主役の素敵な写真展です。12月は9~25日まで外苑前のGLOCAL CAFE にて開催され、その後各地での開催が続きます。
一方の日本のパパたちですが、2016年度の男性育休取得率は1996年に調査を始めて過去最高の3.16%を記録しました。
ここ数年、本当に微々たるものではありますが、伸びてはきている男性育休取得率。政府は2020年度までには13%の達成を目標に掲げています。
はたして今後、育休を取るパパたちは増えるのでしょうか。
スウェーデンより40年遅れている? 日本の子育て政策の現状
子育て政策が成熟していることで知られるスウェーデンでは、子どもが生まれると両親に480日育児休暇が与えられます。そのうち90日間はお互いに譲ることができません。いわゆる「パパクオータ制」です。
1980年代のスウェーデンでは、育休を取る男性の割合は全体の5%に過ぎなかったそうです。(*スウェーデンに1970年代から住み、子育ても経験した高見幸子さんによる)その後、子育てに関する法律は、状況に合わせて改正されてきました。その裏にはたくさんの女性の、想像を絶するような尽力があったことでしょう。
その結果として今の子育て世代に優しいスウェーデンがあるわけですから、スウェーデンと日本の現状を比べて、がっかりする必要はありません。むしろ、そこから学んでいけばいいのではないでしょうか。
実際に今、日本でもパパクオータ制の導入を推す意見が少なくはありません。
仕組みと意識、両方の改革が必要
昨年活動10周年をむかえたファザーリングジャパン(以下FJ)は、男性の育児参画を増やすことをミッションに、さまざまなプロジェクトを発足してきたNPO団体です。
FJのプロジェクトのひとつに、男性の育休促進事業さんきゅーパパプロジェクトがあります。プロジェクトリーダーの塚越学(つかごしまなぶ)さんにお話を伺いました。
「男性の育休取得率を上げるには、政策提言などによって法律や制度といった仕組みを変えに行くアプローチと、セミナーなどの啓発活動によって人々の意識改革につながるアプローチと、両方の側面から取り組まないといけないと考えています。
意識改革は強力ではありますが、その時に関心や必要のある人にしか届かないというデメリットがあります。仕組みを変えていかないことには、次世代に続いていきませんから」
問題があっても、解決しないまま子どもが大きくなって危機感が薄れ、問題解決の必要性を感じなくなることはよくあることです。
パパの育休取得を阻む根本にはなにがある?
育休を取らない(取れない)理由に、収入の低下を口にするパパは少なくありません。ですが、本当にお金が理由なのでしょうか?
さんきゅーパパプロジェクトが2015年に行った調査によると、男性が育休を取ることをもっとも後押しするのは、「休業前賃金の1.3倍がもらえる」という選択肢をはるかにしのいで、「妻の妊娠を伝えると上司が必ず「育休はいつ取る?」と確認し、取得できる環境を整えてくれる」ことだったのです。
男性には女性以上に周りの空気を読んだり、忖度したりする人が多いものです。
「本当の理由は文化にあるのです」
と塚越さん。
もしくは、男性が育休を取ることを受け入れる文化のなさ、といえるかもしれません。