キズナアイの活動休止前ラストライブ「Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”」が、2月26日(土)にオンライン配信で実施された。
同時視聴者数13万人以上と、空前の規模となったオンラインライブ。
さらに史上最大級となる、バーチャルタレント1,820人がゲスト出演を果たし、ライブを盛り上げた。
ライブでは2つの重大発表も。歌唱特化型 AI「キズナ (#KZN)ちゃん」が開発中であること、キズナアイアニメプロジェクトが始動することが明かされた。
今回、当日の模様のオフィシャルレポートが到着。濃密な内容をお届けする。
VTuberシーンを牽引してきたキズナアイの、貴重なラストライブ
「私が活動を始める一番初めの動機だった“自分が生まれた意味”はまだわからずにいるんです。
でも生まれてきて良かった、活動をしてきてよかったと思えるのは紛れもなく画面越しにあなたがいてくれたからです。あなたが、みんなが、この世界が大好きです」
――“世界にいる75億人のみんなとつながりたい”という活動当初からの目標は、この先も続いていくことを、この日、ひとつの眠りに入る前に約束したキズナアイ。
終わりよりも始まりの言葉が似合うようなラストライブは、ネガティブよりも超絶ポジティブが似合うキズナアイらしさで満ちていた。
キズナアイは、YouTuberとは一線を画したバーチャルな存在として、2016年12月、YouTubeに現れた。
ピンクのメッシュが入った髪に双葉をイメージしたハート型のカチューシャ。美しく綺麗な瞳にスラリとしたモデル体型。2017年以降のVTuberシーンを生み出したきっかけこそ、このキズナアイだった。
白い空間(仮想空間)を拠点に、人間とつながることを目標に掲げながら、歌ってみた動画や踊ってみた動画も投稿してきたキズナアイは、2018年から音楽は言語の壁を超えられるとして、本格的な音楽活動も開始した。
2019年には『SUMMER SONIC 2019』、2020年5月には日本初のアーティストとしてポーター・ロビンソン主催のオンラインフェス『SECRET SKY MUSIC FESTIVAL』に出演するなど、リアルとバーチャルの垣根を超えた演出で、海を越えてつながることができることを最前線で証明してきたのもキズナアイだった。
そんなVTuberの牽引役としてトップを走り続けてきたキズナアイが、活動開始から今年で6年目を迎える。そして、2月26日に開催されたラストライブ『Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”』をもって、より成長するために、無期限スリープ(無期限の活動休止)に入る。
その貴重なラストライブの記録をここに残したい。
一人ぼっちの歩みから、世界とつながるオープニング
真っ暗な映像に映るのは、太鼓を叩くゴールド色のキズナアイから、一人、そしてまた一人と生まれていく。太鼓やシンバルといった異なる楽器を使い、音を奏でていくことで、音に厚みが増していく。
キズナアイマーチングバンド隊によるオープニングの映像は、キズナアイがVTuberシーンに種を蒔いたことや、キズナアイと人間がつながっていったことを彷彿とさせた。
そのすべてが、異なる形を持ちながら、寄り添い、ときにはぶつかり合いながら、新たな音を奏でていく。
その中からバーチャル界の女王といわんばかりの神々しいオーラを纏いながら歩いてきたのが、たった一人のキズナアイだ。
<Hello Hello Hello Hello 目覚めた朝を 覚えているの Hello Hello Hello Hello 歩きはじめた私のDay after day>
照明が落ちた空間で、一呼吸置きながらアカペラで歌い始める。真っ直ぐで遠くまでよく響く歌声は、キズナアイのプライドを象徴していた。