人は人と関わりながら生きていきます。そうなると、「我が子を出来るだけ早くから保育園などの集団に入れて社会性を育てたい」と思いますよね。
でも、実はその前に、やらなくてはならない大切なことがあります。
電車の中で隣に座った見知らぬおばさんが、せっかく「こんにちは。可愛いね」と声をかけてくれたのに、人見知りして大泣きする赤ちゃん。保育園や幼稚園に預けたとき、ママとのお別れが辛くて、玄関で泣き叫ぶ子。
こんな姿を見ると「人づきあいが苦手な社会性の低い子」なんて心配になりませんか?
こうなると「親べったりにならないで、出来るだけ幼いうちから集団に入れた方がいいののかしら?」と思いますよね。
『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』の著者の立石美津子がお話しします。
人見知り
生まれた直後から4ヶ月くらいまでの赤ちゃんは、まだ母親と他の人との顔の違いをしっかりと認識はできませんので、人見知りをしません。
ですが、早い子で生後5ヶ月くらいから他者と母親の違いが分かることにより、母親以外の見知らぬ人が近づいたり、抱っこすると泣いたり嫌がります。(子どもの気質によりそうではないケースももちろんあります)
2歳くらいまで続きますが、徐々に母親以外の大人も“自分を可愛がってくれる”ことがわかると、母親の存在を拠り所にして、ママ以外の人が近づいても、泣いて嫌がることをしなくなります。
3歳を過ぎて、更に母親が“自分の心に内在化する”ことにより、そこを安全基地として、母の姿がなくても幼稚園や保育園で楽しく長時間、過ごすことが出来るようにもなります。
保育所保育指針
厚生労働省から出されている“保育所保育指針”には、次のように書かれています。
【愛着と人見知り】
6か月頃には身近な人の顔が分かり、あやしてもらうと喜んだり、愛情を こめて受容的に関わる大人とのやり取りを盛んに楽しみます。そして、前期 に芽生えた特定の大人との愛着関係が更に強まり、この絆を拠りどころとし て、徐々に周囲の大人に働きかけていきます。
この頃には、初めての人や知らない人に対しては、泣いたりして人見知り をするようになりますが、人見知りは、特定の大人との愛着関係が育まれている証拠といえます。
なぜ保育園の0歳児クラスは“保育士1名、園児3名”なのか
では、生まれた直後から大勢の子どもや大人がいる集団の場、例えば“保育園”に入園させた方が、社会性がある子どもに育つのでしょうか?
実はそのことは関連性がないのです。
保育園の0歳児クラスが「保育士1名 対 赤ちゃん3名」です。この少ない人数配置には理由があります。
それは、特定の養育者との信頼関係を築くことが絶対的に必要な時期だからです。つまり、家庭で子ども3人対、母親一人のような細かい体制が敷かれています。
もちろん保育園は預かり時間が長いですから保育士も交代制になっていますが、行き当たりばったりで様々な保育士が関わるのではなく、主として世話をする保育士は決められています。
家庭にいる場合も園で過ごす場合も“オムツが汚れている”“眠たい”“甘えたい”“遊んでほしい”“不安だから抱っこしてほしい”と求めたとき、それを叶えてくれる特定の相手がいることで愛着が形成されていきます。