更に保育所保育指針に以下のようにも掲げられています。
【特定の大人との情緒的な絆】
子どもが示す様々な行動や欲求に、大人が適切に応えることが大切であり、 これにより子どもの中に、人に対する基本的信頼感が芽生えていきます。特に身近にいる特定の保育士が、応答的、かつ積極的に働きかけることで その保育士との間に情緒的な絆が形成され、愛着関係へと発展していきます。
【活発な探索活動】
子どもはこの時期、特定の大人との信頼関係による情緒の安定を基盤にして、探索活動が活発になります。
ですから、家庭内でママと子どもだけで過ごしているから、保育園で集団の中で生活しているからの理由により、将来、社会性やコミュニケーション能力に差が出るわけではありません。
愛着とは?
10ヶ月の間、母親の胎内にいた赤ちゃんは無防備な状態でこの世に生まれてきます。
このように一人では何もできない赤ちゃんに対して、母親は一生懸命子育てします。
年齢が上がるにつれ、一人で出来ることも増えますが、それでも幼児期はあれこれ世話を焼きます。この経験を通して子どもは「この世の中は安全なんだ」と確信を持ち、外の世界へ歩みだすことが出来ます。
布団に置いた途端に泣きだす、「ママ~、ママ~」と金魚の糞のように母親を追う、親の家事の都合はお構いなしに「遊んでほしい」「お菓子が食べたい」とだだをこねる。
子育てはとても大変なことですが、子ども時代に家庭という安全基地、絶対的安心感が確立されることにより、やがて親離れができるようになります。(過去記事「似ているようで違う「愛着障害」と「発達障害」、知っておきたい特徴&原因」)
「ママに甘えてばかりいないで、みんなと遊びなさい!」と背中を押すのは?
子どもが泣いてばかりいます。いつまでも離れないわが子を見て不安になります。また、友だちと上手に遊べる同年齢の子を見て焦り、こんなことを口走ってしまうことがあります。
- 「どうして、そうやっていつまでもママに甘えているの!弱虫ね!」
- 「ママとばかり遊んでいないで、お友達と遊びなさい!」
- 「ちょっとお友達に叩かれたからって、いちいちメソメソするんじゃないの!嫌だったら同じことをやり返せばいいじゃない!」
- 「あなだだけよ!ママとお別れするとき、玄関でいつまでも泣いているのは!恥ずかしいわ」
でも、こんなことを言われたら、一番のオアシス、安全基地である母親の近くでさえ自分の居場所ではなくなり、子どもはますます不安感一杯になります。
こうなると“人に対する基本的な信頼関係”を築くどころか、知らない世界に飛び込む勇気や意欲もなくなり、社会性がコミュニケーション力もつかなくなります。
また、母親から得られない愛情を他の大人に求めて、保育士が他の子に関わるのを妨害しようとします。「僕だけに愛情を注いで~」となっているからです。
そして、わざと机をひっくり返したり、物を壊したりして、大人の注意を引く手段に出る子もいます。(過去記事「親を困らせる、子どもの「試し行動」の原因&たったひとつの対処法」「保育園で大泣き! どうすればいい? ママのNG態度と対処法」)
まとめ
生まれてから3歳くらいまでの間に必要なこと、それは特定の大人との愛着形成です。その主たる担い手は母親であることが多いですね。
子どもが0歳児~2歳くらいの子を持つママは孤独な‟孤育て“に陥りがちですので、家に子どもと一日中いるのではなく、児童館や地域の子育てサークルに出かけ、子育ての悩みや愚痴を零せるママ友を作ることが大切です。
でも、子どもはまだ「ママと自分」の人間関係の中で愛着形成をしている時期です。無理して「社会性を育てるため、出来るだけ早く集団生活をさせなくてはならない」とか「子どもにもお友達を作らなくてはいけない」なんて思う必要はないですよ。
その前に最優先すべきこと、それは“あなたと子どもとの深い絆、愛着形成”をすることです。
書籍『愛着障害~子ども時代を引きずる人々~』は参考になります。