新代田FEVERオーナーの西村仁志氏 撮影:吉田圭子

――最初は試行錯誤とかありました?

西村:やっぱり最初は、機材がスタッフの私物だったので。どうしてもないものは、ネットで安いやつを買うとか。たとえばGoProっていうちっちゃいカメラ、あるじゃないですか。

――はい、テレビのバラエティ番組とかでよく使われているやつ。

西村:GoProは高いんですよ。でも、GoProみたいなやつは、安いんですよ(笑)。それを買って、でも、そのGoProみたいなやつには画面が付いてないので、PC越しで画を見ないといけない。そうすると映像が他のカメラよりも遅れて届くから、時間を合わせないといけない、とか。それに、カメラが違うと画質が変わったり、色味が変わったりするので、揃えなきゃいけない。

そういう作業を、うちのスタッフが――今でもそうなんですけど――すごく時間をかけてやっていて、「大変な作業だな」って。自分は、コーヒーを配ることぐらいしかできなかったので(笑)。

だから、クオリティを高くしたいというスタッフの向上心で、クリアしていった感じでしたね。とにかく自分たちでやるっていう。今でもそれは変わってないんですけど。

――カメラのスイッチングは?

西村:それもスタッフが、無料のスイッチングのソフトで、PC上でやってましたね。今はスイッチャーを買いましたけど。あと、やっぱり……テレビ局だと、今映ってるカメラはこれですってわかるやつ、あるじゃないですか。

――ああ、カメラの赤いランプが点くやつ。タリーライトっていうんでしたっけ。

新代田FEVERでのフラワーカンパニーズのライブ 撮影:吉田圭子

西村:そう、あれがないので、演奏している側は、今どのカメラが映っているのか、まったくわからないんですよ。

ただ、すごいのは、わかる人はわかるんですよ。それこそフラカンの圭介さん(フラワーカンパニーズ・鈴木圭介)は、ばっちりカメラ目線だったりして。「フラカンってすごいわ、なんでわかるんだろうね?」みたいな。

そういうのも含めて、「こういう時にこうすれば、こういう画が撮れるんだな」とか、「カメラの場所をここにするとおもしろいんだな」とか。そういうふうに、勉強しながら配信しています。

――コロナ禍になった直後に配信ライブを始めた頃って、最初はみんな無料でやっていたけど、2〜3ヵ月くらいで、配信チケットを売って見せるようになりましたよね。

西村:あ、でも、その間の段階があったんですよ。最初はYouTubeで生配信していたんですけど、YouTubeで投げ銭ができるようにするのが大変だ、っていうことがわかって。なので、協力を呼びかける文章を、自分が書いてアップしたのが、すぐに広まって。その晩のうちに、スーパーチャットが使えるようになったんですよね。

――登録者数が一定のラインを超えないといけないんでしたっけ?

西村:それと、再生時間の総数が、×千時間を超えないといけない、というのがあって。そっちが難しかったので、文章をアップしたんですけど、すぐスーパーチャットが使えるようになったのが、第二段階ですね。お客さんが投げ銭をしてくれるという。ただ、投げ銭が多くても、そんなに入ってこないことが、やっていくうちにわかってきたんですよね。

――あのおカネがそのまま入ってくるわけじゃないですもんね。YouTubeを経由するから。

西村:で、その2ヵ月後くらいに、チケットを売って生配信を見せるっていうシステムが、ZAIKOあたりから広まっていって、ぴあやイープラスも始めて。それは大きかったですね。