また、ストレスを長く受け続けると、やはりノルアドレナリンが常に不足状態となり、判断力がほぼなくなり、些細なストレスでも、過剰な怒りとなったり、あるいは過剰に逃避してしまうことになります。長期間のストレスがうつ病発症の原因ともいわれる理由はそこにあります。

つまり、セロトニンはある程度多い方がよい(多すぎはだめですが)とされているのに対して、ノルアドレナリンはバランスが非常に大切な要素なのです。PTSD(心的外傷後ストレス障害)にかかっている人はノルアドレナリンの過剰状態が続き、恐怖体験がフラッシュバックするなどに症状に苦しめられます。

ここで忘れてほしくないのは、もしノルアドレナリンがなかったら、意欲0・判断力0の人間ができあがる、つまり廃人ができあがるという点です。生活の意欲と生き残るんだとの生存本能を生み出すのには、必要不可欠で代替の効かないホルモンなのです。
 

「ノルアドレナリン」をバランスよく脳内に放出するには?

セロトニンの場合は、食べ物や生活習慣改善で増加させることが可能なものでしたが、ノルアドレナリンの場合はどうなのでしょうか。ノルアドレナリンも同じように増加させることが可能です。セロトニンのときはトリプトファンというアミノ酸をとるのが有効でしたが、ノルアドレナリンの場合はフェニルアラニン、チロシンというアミノ酸をとることで増やすことができます。

ではこのフェニルアラニンとチロシン、特にフェニルアラニンについては、あれ・・どこかで見たことがあるという名前ではないでしょうか。そうです。人工甘味料のアスパルテームを含む食品には、(アスパルテームが)L-フェニルアラニン化合物であることを表示しなければなりません。これは、フェニルケトン尿症という病気にかかっている新生児がフェニルアラニンを含む食品を体内に入れると、精神発達に障害を来すからです。そのためフェニルアラニンの摂取制限があるため、このように表示されているのです。一般の方がフェニルアラニンを摂取することは全く問題ありません。
 

さて、多い製品ですが、牛乳(成分無調整のもの)・大豆・カツオ・しらす干し・小豆などに多く含まれています。もちろんこれらを原料にした食品にも多く含まれていますので、積極的に摂りましょう。

一方のチロシンですが、実はフェニルアラニンは体内でチロシンに変換されて、ノルアドレナリンの基になります。チロシン自体も食品に含まれていて、やはり牛乳・大豆・カツオに多く含まれています。つまり、牛乳(正確には乳タンパクのカゼイン)・大豆製品・カツオ、これらを記憶に入れながら摂取していくと、ノルアドレナリンの原料には困らないということになりますね。なおノルアドレナリンの原料摂取が過剰になっても、過剰に脳内に放出されることはないので安心してくださいね。