サーリャと聡太の微妙な関係は演技とわかっていても照れました(笑)
――演じてみて、楽しかったシーンはありますか。
聡太(奥平大兼)と一緒に絵を描くシーンは本当に楽しかったです。あの場面はサーリャが一番楽しそうな顔をしているな、と自分でも思いましたし、やっているときは演技ではあったんですけど私自身も楽しんでいました。
ワークショップで事前に奥平さんとも仲を深める時間を作っていただいたり、スタッフさんも含めて一緒にお花見に行くとかもできていたので、現場でも実際のサーリャと聡太のような関係でいられたのは大きかったと思います。
奥平さんは撮影の待ち時間とかにも私のお話し相手になってくださっていて(笑)。年齢が一つ上でお兄ちゃんみたいな感じだったので、演技のことを教えていただいたりとか、あとは趣味のお話とかもたくさんさせていただきました。
――奥平さんは絵やファッションとかがお好きですよね。
私もファッションが好きなのでその話もしました。お互いに古着が好きなので。そういう何気ない話をたくさんさせていただいて、むしろサーリャと聡太以上に話してたかもしれないないです(笑)。
とにかく不安なことも多かったですし、いろいろ色々と気軽に聞くことができたのですごく助けていただきました。
――逆にこのシーンは大変だったな、というところは?
いろいろあったんですけど、やっぱりラストシーンですかね。あの場面でサーリャが下した何らかの決意を見せなくちゃいけなかったので。撮影はほぼ物語が進む順番で撮っていたので、この作品の撮影の最後でもあったんです。
それだけにここまで演じてきたサーリャの強い気持ちを伝えるのは大変でした。何回か撮り直しもしたんですけど、感情を表すのは難しかったですね。
――あのシーンのサーリャから伝わってきたものは、映画が終わったあとも心に残り続けました。
そんな風に言っていただけるとうれしいです。うまく出来たのかな(笑)。
――莉菜さん自身はサーリャと聡太の関係をどんなふうに見ていましたか。
不思議な関係ですよね。友達以上、恋人未満みたいな初々しい感じで。すごくいいなって思いました。ああいう時間って絶対に楽しいんだろうなって(笑)。
演じてても照れてしまって、普通にニヤけちゃったり。バイト先で仲良くなってまだ付き合ってもいないのにデートに行ったり。演技とわかっていても照れました(笑)。
サーリャにとっての聡太は一緒に絵を描いたり、夢を語ったり、それこそ自分がクルド人であることを初めて打ち明けることができた人で、第二の居場所みたいな、安心できる相手だと思うんです。
だから聡太の前では表情も豊かになるように意識しました。つらいことや大変なことが多いサーリャにとって、あんなふうに楽しくいられる場所があったのは良かったな、って思っていました。