いつものように、今期の連ドラはミステリーや推理モノ、学園を舞台にした作品が多い。ただ、その中にもうひとつ大きな勢力がある。それが「エロ」だ。

“ちょっとエッチな大人の恋物語”というキャッチフレーズで放送しているフジ系木曜10時の『ラスト・シンデレラ』と、テレ東系金曜深夜のドラマ24枠で放送している『みんな!エスパーだよ!』がこれにあたる。地上波のテレビは何かと規制が多いが、この2作品はかなりチャレンジしているほうじゃないだろうか。ということで、今回は「エロ」を切り口に、この2作品を検証してみよう。
 

視聴率はじわじわ上昇の『ラスト・シンデレラ』

『ラスト・シンデレラ』公式サイトより


篠原涼子主演の『ラスト・シンデレラ』は、オス化したアラフォー女子の日常を描いたラブコメディ。篠原涼子が演じる美容師の桜にヒゲが生えてきたところから物語は始まったが、その桜にBMXのライダーである広斗(三浦春馬)がある目的で近づき、久しぶりに桜が恋をするというのが当面の縦軸になっている。アラフォー女子代表は、桜の他にスポーツジムのインストラクターでバツイチ独身の志麻(飯島直子)と、ふたりの子持ちで専業主婦の美樹(大塚寧々)。 これに桜の天敵で同じ美容師の凛太郎(藤木直人)が絡む形で話は進んでいる。

アラフォーのエロ担当は、やはり飯島直子。初回からトイレで若い男を襲ったり、友人の旦那とは知らずにホテルのロビーで会った男をナンパして部屋に連れ込んだりなどして、積極的に肉食系女子を演じていた。そのスタイルからいって飯島直子がエロ担当になるのは当然なのだが、さすがに描き方が下品すぎたのか、Yahoo!テレビのみんなの感想では、最低の☆1つが約半数を占めている。それでも、視聴率は初回の13.3%から2話で14.4%に上がり、以後5話まで14%台をキープ。そしてついに6話では15%にまで上げた(ビデオリサーチ調べ・関東地区)。下品だろうがなんだろうが、テレビドラマはウケれば勝ちということだ。
 

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ドラマの序盤では、三浦春馬の相手役をしていた市川由衣も20代のエロ担当としてかなり頑張っていた。実際、出演している部分では、服を着ているシーンのほうが少なかったくらいだ。

市川由衣といえば、もうデビューしてから10年以上経つ女優だが、代表作というとなかなか思い浮かばない。映画『NANA2』では宮崎あおいに代わってハチ役を射止めたが、1作目ほどヒットはしなかった。今期は『お天気お姉さん』や『トカゲ』にもゲスト出演しているので、こういう地道に頑張っている人が、たとえエロ担当がキッカケだったとしてもブレイクしてくれると嬉しいんだけどな。

 ドラマ全体としては、やはりアラフォーをターゲットにしているせいか、作りが古臭く、現代の女性を切り口にしているわりには今どきのドラマという感じがしない。ただ、桜に近づくように広斗に命じた千代子(菜々緒)と広斗の関係も明らかになったし、広斗の気持ちの変化も徐々に描かれてきたし、ストーリーとしてはこれから盛り上がっていく感じ。市川由衣が演じる桃もこのままということはないだろうし……。菜々緒が意外と重要な役だったので、菜々緒の今後にも期待したい。