『前田清貴』 燭台(怪)
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――今も出てるバンドも変わったバンドが多いですよね。

小嶋:売れるであろうきわもの系と、そうでないきわもの系ってあるじゃないですか。出発点というかバンドを作る動機はおそらく一緒なんですけど。たとえば燭台(怪)の動機は、多分「恨み」だと思うんですよ(笑)。「自分たちはこんなにおもしろいことをやってるのに……」っていう「自分たちを素通りしていった人たちを見返してやろう」みたいなエネルギーかなって思うんですよね。アングラ系やきわもの系の中でも、普通に生活しててストレス発散の場としてバンド表現をやっている人たちは、売れないというか、売れなくてもいいと思ってる人も多いでしょうけど、燭台(怪)は売れたいと思ってるでしょうし、元々ゴールデンボンバーと近いところにいたこともあって、悔しいと感じているのでは。
 

有名家電メーカーを狂愛するバンド、 燭台(怪)。ボーカルのカゲロウさんはサラリーマンとバンドマンを兼業する自称「サラリー麺」。『メンタルヘルス撲滅運動』『家電業界大戦争』など突っ込みづらいタイトルの楽曲が特徴(?)


――以前「ウレぴあ総研」の座談会(記事『次の金爆は誰だ? 個性派3バンド(NoGoD、えんそく、Jin-Machine)のボーカルが語る本音座談会』 [ https://ure.pia.co.jp/articles/-/11976 ] )でもJin-Machineのボーカル、featuring16さんがそれに近いことはおっしゃってましたね。

小嶋:今、それでJin-Machineも売れてきてるじゃないですか。燭台(怪)やTЯicKYもこの流れに乗らないでいつ乗るのかという感じだと思いますね。
 

『マジで恋する黒魔術48』
TЯicKY
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――TЯicKYさんは今、テレビ番組『musicる』(テレビ朝日)にも結構取り上げられてますね。

小嶋:TЯicKYは凄いなと。何が凄いかって初めて見た時と今とやってることが一緒なんですよ。初めて観た時は、お客さんが2・3人だったんですよ。アーティストとして、やってることは別に変わってないのに、お客がどんどん増えていったっていう。

――ブレてないってことですよね。

小嶋:最初から自信満々にやってましたし、当時からそこはすごく買ってました。それに今は結果がついてきてるっていうことは素晴らしいことだと思います。

TЯicKYに関して言えば「毒」が無いのがいいのかなと思いますよね。バンドってどうしてもそういうのが含まれちゃうし、それが良い方向にむかうケースもあるとは思うんですけど、彼の場合は、毒のない平和な空間で、それが良いのかな。

ウチのなかで「ヴィジュアル系」の中でのトップはJin-MachineとTЯicKYと燭台(怪)なんでしょうね。きっとウチのスタッフもそうだと思ってますよ。「ヴィジュアル系ってこういうひとなんじゃないのって」そんな感じだと思います(笑)。
 

TЯicKY:トリン星からやってきたアイドルという設定で活動するアーティスト。テレビ朝日の『musicる』の「もしかしたら売れるかもしれないメジャーデビューしてないアーティストが見れる店」コーナーに数度登場し注目を集めている。

 

――変な質問ですけど、ゴールデンボンバーがブレイクしてから、エアバンドって増えました?

小嶋:増えてないです。

――ですよね(笑)。

小嶋:なんですかね、いてもおかしくないとは思うんですけど。

――聞いておいてなんですけど、彼らの面白さの本質が「エアー」の部分にあるわけではないことに尽きるとは思うんです。

小嶋:楽器を演奏しないバンドっていう売れ方ではないのかなと思いますね。

――それこそいま同じことして……、スイカの早食いしても人気出るわけではないですからね。

小嶋:ですね。やっぱり比べられちゃうから厳しいんじゃないんですかね。
Jin-Machineはココは彼らと違うよというところを見せているのが頭いいなと思います。