中華街の主たちに聞く
「屋台?増えてるよ。今は2~30あるんじゃないか。買う人がいるから増えるんでしょう。保健所の許可も営業許可も必要ないし、ちょっとした隙間さえあれば店が出せるんだから」
こう話すのは、横浜中華街発展会協同組合の理事長を務める林兼正氏。
いわゆる中華街のドンといっても過言ではない人物だ。
「聘珍樓みたいに、ちゃんとした店舗を構えた店はリピーター戦略の理念があるから、商品に責任を持ってる。屋台は一見のお客を騙そうとするから、古い栗だって平気で使うんだよ」
とはいえ、初めて来た観光客やお年寄りは、あんな風にしつこく押し売りされたら根負けしてしまうのでは?
「そんなもん、自分でノーと言えなくてどうするの。だいたいね、栗は秋が一番おいしいの。去年の秋に獲れた栗を今年の夏に買うなんて、日本人観光客はどうかしてるよね。
彼ら(屋台の売り子)はね、騙せそうな人をちゃんと見極めてるよ。僕なんか声もかけられないから。だいたい押し売りはね、迷惑行為なんだよ。あんなところに屋台を出すのは道路交通法違反だし。それなのに警察や行政は何もやってくれないんだから」
組合では、栗の押し売りへの注意を呼びかける看板を設置するなど、独自に活動を行っている。(※警察に具体策を尋ねたところ、何かしら「やっている」らしいが「具体的には答えられない」という、なんとも歯切れの悪い回答をいただいた)
一方、3年ほど前から中華街で露店を営んでいるおばちゃんは、顔をしかめてこう話す。
「中国はパクり文化だから、あそこ儲かってるな、と目をつけたらすぐ真似する。だからあちこち屋台ができるのよ」
なるほど。いいと思ったものは自国他国問わず真似る、これが中国クオリティというわけか!
買うから儲かる、儲かるから増える
屋台で栗を売っている中国人も、生活に必死であることは重々承知。
でも、やっぱり実状を知ってしまったからには古い栗は食べたくないのがホンネ。
取材後に屋台の栗を食べてみると、味がしないというか、ボソボソしておいしくないというか…。
焼き立てならなんでもおいしいと思っていただけに私は妙な気分だった。
ただ、屋台の実状を知らずに買っていくお客さんは後を絶たない。
石川町に住むというおばあちゃんは、屋台の栗が好きでよく買いにくるが、押し売りなどは一度もされたことがないそうだ。一方、小さな子供を連れたご夫婦は、子供が試食の栗を貰ったこともあり、断れずに買ってしまったらしい。
中華街はいいところ。でも日本人観光客につけ込もうとする輩がいるのも事実。
調査を通して、横浜中華街は“中国パクリ文化”の餌食になりつつあると実感した。
「売る・買う」という行動と商品に対する意識・感覚の違いが、日本人と中国人の間にはあるのだろう。
他の地域に比べ異国文化が入り乱れている横浜では、この感覚の違いを受け入れて生活をしている人が多いようだ。
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