実は、かつては売り物だった二宮金次郎像

ところが、意に反して買い手は現われなかったようだ。

そこで倉庫にしまっていたのだが、1989(平成元)年、現在のビルに建て替えたのを記念して、今の位置へ設置したとのこと。店舗に対して像を横向きにした理由は、特にないそうだ。

だが皮肉にも同年、店舗の前を通る国道一号線の拡張計画が、横浜市より広光さんの元に知らされた。それまでは、問題の自動販売機は国道寄りに設置していたのだが、他に移せる場所もなく、やむなく同年に今の位置へ移動。こうして、金次郎は、行く手を阻まれてしまったのである。

国道拡張工事後の姿、ここに自販機を置くことはできない
お店の看板も、自販機に隠れてしまう結果になった
 

なお、一部の地権者の反対などにより、当初5年で完成する予定だった国道の拡張工事は、いまだ終わっていないらしい。「どういうことなんですかねぇ」と、広光さんは眉を寄せていた。

 

像の向きを変えることはできないのか

では、金次郎像を別の場所に移動したり、正面に向けてあげたりすることはできないのだろうか。

広光さんに聞いてみると、「土台にしっかり固定してしまったんですよね」とのお答え。

これを崩すには、基礎の土台ごと壊さないといけないそうだ。
そのとき、瀬戸物で中が空洞の金次郎像は、破損してしまう可能性があるらしい。
 

細かな表現ができる反面、壊れやすいのが陶器の難点

しかし、自販機の陰で目立たなくなったことで、逆にイタズラや落書きなどはほとんどないという。

壊れやすい陶器製であるにも関わらず、約23年間無事な姿を残しているのも、このことが原因なのかもしれない。

従って、自動販売機を撤去する予定も、今のところないそうだ。

 

この像の希少性について

着物の例(左)、はかまの例(右)

最後に、この像が持つ希少性について、簡単に触れておきたい。

一部の例外はあるものの、よく見かける金次郎像は、「着物を着て裾を出しているものは右足前、はかまの一種をはいて裾を入れているものは左足前」の意匠が多い。 

 
この像は、着物なのに左足前である

ところが、この陶器製の金次郎像は逆なのである。同じ例は、小学校に残る最古の二宮金次郎像、「愛知県豊橋市立前芝小学校像」他数体しかない。もちろん、陶器製ということ自体が、大変に珍しい。

どうかイタズラなどをすることのないよう、日本で無二と思われる同像を、末永く見守ってほしいと願う。


 

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