ドラマ「僕の姉ちゃん」が毎週水曜深夜1時、テレビ東京ほかで放送中だ。本作は、漫画家・益田ミリ氏の同名漫画が原作。素朴で真っすぐに育ってきた社会人1年目の弟と、ユーモラスで辛辣(しんらつ)な30歳の姉が、 恋や人生にまつわる本音を語る会話劇。主人公の姉の白井ちはるを黒木華、弟の白井順平を杉野遥亮が演じる。
地上波放送に先駆け、Amazon Prime Videoで昨年9月から先行配信され、SNS上で反響を呼んだ本作。黒木と杉野が、本作の配信後に届いた反響や撮影時の思い出、好きなシーンや、人生のポリシーなどを語ってくれた。
-本作は、昨年配信されて話題になりましたが、どんな反響が届きましたか。
杉野 周りのスタッフさんで「見たよ」と言ってくださる方が多かったです。特に女性の方が「姉ちゃんの本音に共感した」と言ってくださって、姉ちゃんの言っていることを楽しんでいただけていたので、そこが魅力だったのかなと思います。
黒木 私の周りに見てくださっている方が本当に多くて、皆さん何回もリピートして見てくださっているようで、それだけ愛されている作品になっているんだなと、すごくうれしかったです。
-毎回、ちはると順平が、夜、食事をしながら会話をするシーンが印象的ですが、声のトーンや話し方で意識したことは?
黒木 撮影前に初めて杉野さんとお会いし、読み合わせをしたときに、会話が心地よいので、ついテンポのよい会話になってしまい、監督から「2人共、もっとゆっくりしゃべってください」と言われました。杉野さんとは、一緒にいる時間が長かった分、いい空気感の中で言葉のキャッチボールが出来ていた気がします。
杉野 監督が美術セットや衣装にすごくこだわっていたので、せりふも(理想の)テンポだったりトーンがあって、それも含めて監督がディレクションしてくださったのだと思います。
-お2人は何話が一番好きですか。印象に残っている好きなシーンを教えてください。
黒木 7話で順平が疲れて帰ってきて、ちはると一緒にシュークリームを食べるシーンは、姉弟の距離感が表れているので好きです。
杉野 10話で、姉ちゃんとおすしを作りながら、順平が「ねえ、それプロポーズじゃないの?」とちはるに言ったときの空気感が絶妙で好きです。
-2人で演じていくうちに、変わっていったことや、アドリブはあったのでしょうか。
黒木 かるたのシーンは、アドリブはなかったですが、カットが掛かるまでが長かったので、2人で遊びを考えたり、会話のキャッチボールに合わせてごみをキャッチする動きを足したりしました。
-劇中には、お互いを励まし合うせりふが出てきますが、その中で、好きな言葉はありますか。
黒木 好きなせりふがたくさんあるのですが、中でも、ちはるが順平に「自分が自分のことを見ていなくても、誰かがあなたのいいところを見てくれているし、みんなが気付いていたらそれでいいんじゃないの」と励ます言葉が好きです。ちはるの言葉に私自身も励まされました。
杉野 1話で、姉ちゃんと「明日、地球が終わるとしたら何を食べたい?」というやり取りをするのですが、姉ちゃんが、そのときに「生クリーム」と絶妙なラインの切り返しをしたり、「好きな言葉は?」という会話で「お土産」と答えたりするところは、ユーモアがあっていいなと刺さりました。
-ちはると順平、それぞれの魅力は?
黒木 ちはるは人間味があるところと、ちょっと毒があるところのユーモアのバランスがいいなと思います。生活をする上で自分の中に核となるものがあり、話す内容も押しつけがましくなくて、本質を突いているので、見ている方は救われたり、ハッとするものがあるのかなと思います。
杉野 順平は優しさと素直さがあって、等身大の人なので、共感してくれる男の人が結構いるのではないかなと思います。素直さがあると吸収できますし、人として成長するために必要な要素を持っている人だなと思います。
-劇中には、ちはるの仕事論や恋愛論、人生論が出てきますが、人生の中で、ご自身が大切にしているポリシーや軸にしているものはありますか。
黒木 私の人生の軸は、お仕事です。お芝居がもともと好きで、役者のお仕事を始めているので、恋愛やプライベートなことも大事ですが、私にとっては全てが役につながると思っています。仕事が人生の軸になっているので、楽しいと思うことが大切です。
杉野 僕も今、演じることが楽しいなと思っている時期ですし、これからやっていきたいことがたくさんある中で、今は仕事のことを多く考えています。仕事では、その瞬間、瞬間を楽しむことがポリシーです。
-6話では、恋がうまくいかずモヤモヤしている順平がチャーシューを作るシーンがありますが、自分の気持ちの落としどころが見つからない日に、落ち着くためについやってしまう行動はありますか。
黒木 私は、時間と手間が掛かる料理を作ります。ハンバーガーをバンズから作ったり、肉まんを皮から作ったりしていると、その時間は何も考えずにいられます。
杉野 僕は、たまっている感情を全部ルーズリーフに書き出します。ガーッと感情を書いて、ビビーッと破いて捨てると、気持ちがすっきりします。
(取材・文/小宮山あきの)