荒牧慶彦(左)と和田雅成

 2021年にTVドラマ&舞台連動企画として始動。日本テレビ・読売テレビでTVドラマが放送され、舞台での上演も行われた芸人青春群像劇「あいつが上手で下手が僕で」(以下、カミシモ)のシーズン2の制作が決定し、11月18日から舞台が上演される。シーズン1に続き、お笑い芸人「エクソダス」の時浦可偉を演じる荒牧慶彦と、相方の島世紀役の和田雅成に、シーズン2への意気込み、さらに2人が出会ったときの思い出などを語ってもらった。

-シーズン2の舞台の上演が決定しました。

荒牧 (シーズン1の)ドラマも舞台もたくさんの方に笑っていただくことができたので、あの幸せな空間が帰ってくるのかと思うと楽しみでワクワクした気持ちと、またお笑いネタに悩まされる日々が始まるという苦悩と、二つの気持ちがせめぎ合ってます(笑)。

和田 シーズン2の舞台があるかもという話は、公演をやっていたときから分かっていたのでプレッシャーも大きかったですね。シーズン1が受け入れてもらえなかったらどうしようと(笑)。ですが、ありがたいことにお客さまからもご好評をいただいて、自分たちも楽しくできたので、シーズン2も楽しみにしています。

-お二人は、これまでにも数々の作品で共演していますが、初めて会ったときのことは覚えていますか。

荒牧 覚えていますよ。舞台「K」という作品に和田雅成という人が出演することになったと、僕は(同作に出演していた)松田凌くんから聞いて、それで、彼とご飯を食べているときに、まーしー(和田)がきたんです。松田凌くんは、それ以前からまーしーのことは知っていたので、稽古前に紹介してくれるということで。

和田 そこからすぐに仲よくなりましたね。学年でいうと、まっきー(荒牧)の方が2歳年上なんですが、「敬語なしでいこうね」と言ってくれて、連絡先もすぐに交換して連絡を取り合って…。

-最初に会ったときと今とでは、印象は変わりましたか。

荒牧 変わらないです。ひたむきで真面目で、作品に真摯(しんし)に向き合って、でも、人のボケは逃がさず、落とさないようにすくい上げて、現場を明るくしてくれる。いいやつだと今も昔も思っています。

和田 共演も多いですし、プライベートでもご飯を食べに行ったり、映画を見に行ったりもすることもあって、まっきーも寄りかかってくれるし、僕も寄りかかれるので、すごくやりやすいです。お互いに何を大事にしているのか分かり合っているので、今回もきっとやりやすいだろうなとは思います。

-では、現在、それぞれが演じる役をどう捉えて演じていますか。

荒牧 時浦は、自分が面白いと思うお笑いを貫きたい、ある意味、面倒くさいタイプという解釈で演じていました。それを強調するために、言葉に抑揚をつけずに話すようにしています。それから、すぐにいじけるというかわいらしい部分も押し出していきたいと思っていました。

和田 島は、ほぼ和田です(笑)。もちろん、僕が持っていない魅力もありますが、役を作る上では、僕が強く反映されているんじゃないかなとは思います。島は、回したがりで、意識せずともその場の中心にいるタイプで、一瞬で周りを明るくできる人物だろうと感じています。

-役作りをする上で、参考にした芸人はいますか。

荒牧 プロデューサーさんたちと話し合いをしたときに、ピースの又吉(直樹)さんのイメージでいこうという話が出たので、又吉さんは意識しました。漫才にもシュールさがあって、刺さる人にはすごく刺さるという、あの独特の空気感を出したいなとは思っていました。

和田 僕は撮影に入る前までは、ティモンディの高岸(宏行)さんをイメージしていたんですが、でも高岸さんは高岸さんでしかないなと思い直して…。なので、誰かをイメージしたというのは僕はなかったです。

-お笑いで上を目指す若者たちを描いた本作にちなんで、お二人の今の夢や目指している姿を教えてください。

荒牧 2.5次元作品と呼ばれているジャンルで活躍している俳優たちには、「この作品に出たらこうなれる」というルートがないんですよ。道なき道を行っていると感じながら進んでいます。なので、僕は新たなルートを開拓したいという思いがあります。それはもちろん、後輩たちのためにもなると思いますが、自分自身のためでもあります。2.5次元で活躍している俳優たちは、みんなポテンシャルが高いので、ぜひ多くの方に知っていただきたいですし、荒牧慶彦という存在もみんなに知ってもらいたいです。

和田 ずっと言っていますが、僕は朝ドラに出ることが変わらない目標です。昔から祖母や母親が毎朝見ていたということもありますが、毎日、誰かの楽しみになれるというのは素晴らしいことだと思うんです。朝ドラで元気な姿をたくさんの方に見ていただいて、その日1日、元気になってもらえたら幸せだなと。遠い目標では、この仕事をずっと続けていくことですね。これまで好きなことを続けていられるなら、それが役者じゃなくてもいいと思っていたんですが、30歳を過ぎて、役者しかできないと気付きました。なので、役者をずっと続けていければと思っています。

-最後に、公演を楽しみにしている人たちにメッセージを。

荒牧 シーズン1同様、とにかく笑える舞台にしたいと思っています。頭の中を空っぽにして、ただただ笑える舞台にしたいと思っていますので、ぜひ楽しみにしていてください。

和田 シーズン1で、初めて漫才を人前で披露して、そのときに笑っていただくことの難しさとうれしさを痛感しました。どの舞台もお客さまと一緒に作り上げていくものですが、特にこの作品はお客さまの力が大きい舞台だと思います。一緒に、あの空間を楽しんで、「カミシモ」という作品を作っていただけたらうれしいです。

(取材・文/嶋田真己)

 舞台「あいつが上手で下手が僕で」シーズン2は、11月18日~24日に都内・日本青年館ホール、12月2日~4日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで上演。
公式サイト https://kamishimo-stage.com

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