(左から)清水美砂(ヘアメーク:佐々木博美/スタイリスト:勝俣淳子)、伊原六花(ヘアメーク:面下伸一(FACCIA)/スタイリスト:米原佳奈)、葉山奨之(ヘアメーク:近藤あかね(MARVEE)/スタイリスト:李靖華)、竹中直人(ヘアメーク:和田しづか/スタイリスト:伊島れいか) (C)エンタメOVO

 映画『シコふんじゃった。』から30年。装いも新たに誕生したドラマ『シコふんじゃった!』が、10月26日(水)から、ディズニープラスで独占配信される。卒業と引き換えに廃部寸前の相撲部に渋々入部した大学生の亮太は、たった一人の部員で、相撲一筋の穂香と出会う。2人が、個性豊かな仲間たちと共に、人生大逆転劇の舞台に挑む様子を描く胸アツ青春コメディーだ。亮太役の葉山奨之、穂香役の伊原六花、そして映画と同じ役で出演した青木役の竹中直人と夏子役の清水美砂に話を聞いた。

-まず、主演のお二人に伺いますが、映画版を見たことはありましたか 

葉山 映画は10年ぐらい前に見たことはありましたが、今回は、全く新しい気持ちで取り組もうと思ったので、演じる前に、改めて見ることはあえてしませんでした。

伊原 私は、穗香という役柄的にも、(映画版で竹中が演じた)青木富夫先生の本をバイブルとしてずっと持っていて、そこに載っている名言を人に教えたり、先輩方の汗がしみ込んだまわしを大事なものだと言うほど、伝統を大事にしている女の子だと思ったので、映画を見ました。とても面白くて、最後はテレビの前で拍手をしていました(笑)。

-今度はオリジナルキャストのお二人に伺います。30年ぶりに同じ役を演じる気持ちはいかがでしたか。

清水 私は心配でした。この30年でいろいろと経験しましたから(笑)、昔のような、二十歳の夏子のイメージで、ヒロインを演じたあの感じはちょっと無理だろうなあと。でも、年を取ったなあとか、そんなふうに思われるのも嫌だったので、いろいろな葛藤がありましたけど、最終的には、人間というのは、いろいろと人生経験をして、しわもできるし(笑)…。でもそれを全て受け入れて、その中で、新たな、教授としての夏子を演じようと思って臨みました。

竹中 青木…心が覚えてました。ただ今回、監督が周防(正行)さんじゃないことが、僕にはショックでしたね。僕にとっては、周防監督の『シコふんじゃった。』なので。「えー?! 総監督といわれても~!!」って感じでした(笑)。でも、清水さんと久しぶりにお会いしたときは感動しましたし、田口浩正も相変わらず憎らしいやつでうれしかった(笑)。役を演じることなどを超えて、30年なんてあっと言う間なんだなって深く感じました。

-竹中さん(青木)の下痢のポーズも久しぶりに楽しく見ました。

竹中 台本では下痢のシーンが少なかったんです。それで「ここで下痢をしないのはおかしい」って、幾つか増やしてもらいました(笑)。

清水 映っていないときもやっていました(笑)。

葉山 笑いをこらえるのが大変でした。というか、笑っていましたけど(笑)。

伊原 役柄上では、尊敬している人で、何をしても青木先生となるから、そこで笑えない分、伊原六花で笑うときは、お世話になりました(笑)。

-伊原さんの、四股をはじめとする所作がとてもきれいで素晴らしいと思いました。バレエやダンスの経験があるにしても、動きは全く別ですよね。相当稽古をしたのではないですか。

伊原 脚は、上げようと思えば上がりますが、相撲の四股の脚の上げ方はちょっと違うので、稽古のときも、100回以上踏んでいました。形を細かく教えてもらいながら、鏡の前でやらせてもらいました。監督からも「とりあえず、四股はきれいに踏んでください」と言われていたので、ずっと練習していました。

-葉山さんは、映画の本木雅弘さん同様、最初は軟弱だけど、だんだんと男らしくなっていく役でした。演じる上で気を付けた点は?

葉山 この役は、今の令和を代表する若者という設定なので、その感覚をすごく大切にしました。亮太は、最初は相撲をばかにしているけど、だんだんと入り込んでいって、相撲の素晴らしさが分かってきます。言葉ではうまく言えないけれど、ちゃんと芯は持っている、負けず嫌いの青年なので、そうした要素を大事にして演じました。撮影が順撮りだったので、そこは自分が純粋に感じたものを出すことを心掛けていました。

-最初は、もちろん四股は踏めなかったんですよね。

葉山 そうですね。最初は、右も左も全く分からないままやって、ロボットみたいな動きになっていました(笑)。四股やすり足など、すぐには身につかないので、2カ月間、先生とみっちり稽古をしました。でも亮太は、最初は相撲が分からない役なので、どれだけ下手に見せられるかがポイントで、後半は負ける練習をずっとしていました。

竹中 受け身がきつかったでしょ? 土俵があんなに硬いとは思わなかったでしょう。かっちかちだもんね。

-竹中さんも、映画のときはちゃんと稽古はしたんですよね。

竹中 しました。でもみんな本気でくるので、芝居なんだから、うそでぶつかってきてよって思うんですが、本気でぶつからないとばれちゃうということで稽古は痛かった記憶しかないです(笑)。

-でも、青木の得意技の内無双はできるようになったんですか。

竹中 いや、できないですよ。あれはテンションだけです。『Shall we ダンス?』(96)だって、全然踊れないですから。あれもテンションだけです。ノリ一発です。

葉山 それでできちゃうんですから。尊敬します。

-今回、主演の2人を見てどう思いましたか。

竹中 もう美しいです! とにかくピュア! この作品に向かっている姿が見ているだけで美しいという感じでした。 撮影現場の2人は本当にキラキラしていました。

清水 本当にキャラクターと、演じている皆さんの性格が、ほとんど一緒なのではないかと(笑)。もちろん脚本で、当て書きで書かれているところもあると思いますが、六花ちゃんは、もう完璧に穂香に成り切っていました。役を離れると、もちろん六花ちゃんが出てきますけど、現場にいるときは結構…。

竹中 もうすごかったよね。

清水 奨之くんは奨之くんで、これは役になっているのか、それとも地なのかが、ちょっと分からないときがあって、面白いなあと思って見ていました。でも、体つきもそうでしたけど、こうやって若い人たちが数カ月で成長するところを見ていると、うらやましくもあったし、何か素晴らしいものを見た気がしました。特に奨之くんは目つきが変わりました。本木くんもそうでしたけど、こうやって男の人が成長するのは、何てカッコいいんだろうと思いました。六花ちゃんは最初から恰好よかったです。

-最後にドラマの見どころや、アピールポイントをお願いします。

清水 平成の私たちのグループと令和の若者のグループとの化学反応が、とても面白く出ていて、1話から10話まで、すごく見応えのある作品になっていると思いますので、性別も年齢も関係なく、楽しんでいただけると思います。

伊原 穂香が亮太に教えるという意味で、相撲の細かい所作から、名称や動きまでを説明している描写もあるので、それを通して、相撲の深いところまで興味を持っていただけると思います。相撲もあり、青春もあり、映画を見ていた方にとっては「OBの方が出ている」など、いろいろな楽しみ方があるので、ぜひたくさんの方に見ていただきたいと思います。

葉山 今回は、ディズニープラスでやることにも意味があると思います。誰も死なないし、血も出ないし、子どもも安心して見られますし、30年前に映画を見た人たちも楽しめる作品になっているので、本当に世代を問わず、楽しめると思います。また、キャラクターが個性豊かなので、新しいアベンジャーズ的なものとして、このドラマを楽しんでいただけたらと思います。僕たちは続きがあると思いながら撮っていました。

竹中 僕は『アベンジャーズ』の声優は演らせていただいていますが、とにかく奨之くんと六花ちゃんの魅力がさく裂しているので、世界的なアイドルになっちゃったら困っちゃうな(笑)。最終的に、まわしを締めた新しいタイプのヒーローとして『アベンジャーズ』に出ちゃうとか!

葉山 『シコふんじゃった! 和製アベンジャーズ』とか(笑)。

(取材・文・写真/田中雄二)

 ディズニープラスオリジナルドラマシリーズ『シコふんじゃった!』10月26日(水)からディズニープラスで独占配信。