漫画やアニメで定番ジャンルの学園モノ。男子向けにはバトル系、女子向けには恋愛系あたりが王道だったが、近年はますますバリエーション豊かになってきた。
 

少し前にまったりした日常系が流行ったかと思えば、今夏はモテない女子高生の空回りっぷりを描いたアニメ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の人気で“喪女”がちょっとしたブームだ。

では、これから来そうな学園モノのトレンドは何か――? 記者がひそかに注目しているのは“職人系男子”

ざっくり簡単に定義しておくと、他人との競争や恋愛にガツガツせず、かといって草食系男子でもない。ある特定の方面に常人離れしたこだわりとスキルを所持し、その磨き抜いた技をあざやかに使いこなす男子のことだ。

今回はそんな職人系男子の活躍する注目タイトルを2つ紹介したい。

 

全力で授業をサボれ!『となりの関くん』

地味で無口な男子高校生の関くん。だが彼には隠された情熱と才能があった。それは「こっそりと授業中に遊ぶ」こと。誰でもやった経験がある「教科書にパラパラ漫画を描く」「机の穴を利用してゴルフごっこ」などを、とんでもない高レベルでやり遂げられるのだ。

教室の最後列で窓際、前の席には大柄なクラスメートが座り教師の視線をシャットアウトするという理想の条件を生かして、彼は今日も1人遊びに全力を注ぐ――。

机上を埋め尽くす量の消しゴムを使った大規模ドミノ倒しに始まり、チェスの駒を積み上げた巨大タワーアトラクション、プロ級の技を見せる編みぐるみ作り、ロボットフィギュアと小型家具を駆使したホームドラマ上演、ほかにもダーツに生け花、ジェンガまで……関くんの(無駄な)イマジネーションと(無駄な)職人芸は尽きることを知らない。

関くんの悪行を唯一知り、読者視点でツッコミを入れるのは横の席に座っている美少女・横井さん。サボリ常習犯の関くんに呆れながら、その巧みな芸風に驚き、なごみ、時には感動で心震わせる。たまに我慢の限界が来て先生へ告げ口を試みるが、もう次の瞬間にはあざやかに証拠隠滅されて、逆に自分がサボリを疑われる。たった1人の理解者である横井さんが最大の被害者でもあるという構図が非常におもしろい。

舞台は大半が学園内に限定、ほぼ関くんと横井さん2人のやりとりだけで話が進むという一見すれば地味な漫画だが、すでに単行本の売れ行きは160万部に達するミリオンヒット。しかも実はなんとアニメ化が決定している。ありそうでなかった新感覚の“職人系サボリ魔コメディ”、その魅力がどれだけブームを巻き起こせるか注目だ。