「僕も彼女も映画を観るのが好きです。僕は洋画で彼女は邦画を選ぶので、話題が尽きないのが楽しいと思っていました。
あえて観ることはしないけど、情報や感想をお互いに話すので盛り上がるのですよね。
彼女は今、ある俳優さんにハマっていてその人の作品を観ているのは知っていました。
あるとき、僕の部屋で過ごすことになり『何か流そうか』と話していたら、彼女が『どうしても観てほしい作品がある』と言い出して。
そのハマっている俳優さんが出演しているドラマで、契約している動画配信サービスにあったので確認したら10話以上とわかり、『最初の1話だけ』と伝えました。
彼女は『最終回まで観ないと良さがわからないよ』と言うし気持ちはわかるのですが、1話を観た時点で大きな興味は生まれず、『ドラマじゃなくて映画はないの?』と振ってみました。
すると、『これがオススメなの!』と彼女は怒り出し、こんなことは滅多にないので焦りましたね……。
後で思い返したら僕にも思いやりが足りなかったなと反省したのですが、一方的に見せられるのがつらかったのも正直な気持ちです。
結局それで彼女は不機嫌になってしまい、謝ったけれど口をきいてくれないから僕も困り、キッチンに移動してスマホにイヤホンをつないで映画を流しました。
もう帰ってくれないかなと思ったのは彼女がリビングからこちらに来たときで、『ひとりで別のものを観るとか、嫌味っぽい』と文句を言う姿にはさすがにうんざり。
勧めたい気持ちはわかるけれど、長時間の視聴に付き合わされる僕のことは考えないのかと言いたくなりましたね。
その日は気まずい空気のまま夕方まで無言で過ごし、ずっと顔をしかめたままの彼女に『ひとりになりたいから』と言って帰ってもらいました」(38歳/営業)
彼女のおすすめの作品なら、最後まで鑑賞に付き合うのも一つの愛情ではあります。
興味を持てないときに観るのが苦痛になったら正直にそれを伝えるのも大切ですが、彼女が受け入れてくれないと喧嘩になりますよね。
良さを知ってほしい気持ちはわかるけれど、相手が同じ気持ちになれないときは、提案した側が引くのもお互いのストレスを減らす選択肢です。
一緒に楽しみたい気持ちは、別のやり方で叶えることも考えたいですね。