「浮かれちまえよ! 外にはない希望が、この箱の中にはある!」と叫ぶ暁の声から始まったのは『omit』、手拍子でそれを迎えるダメ人間たち。
〈今日も他人(アイツ)は楽しそうで でもああはなりたくないなぁって〉
卑屈な歌詞を全員でシンガロングし、サビではタオルを回すアンバランスさ。確かににこの空間にしかない喜びに満ち溢れている。
クラシカルなハードロックという趣きのギターソロが印象的な『BURN』の後は、早くもキラーチューン『像』が放たれ、花道に駆け出す祥平、中指を立てて煽る堕門。フロアの熱量はさらに上昇していく。暁も「勝負しようぜ!」と口にしていたように、ダメ人間とアルルカンのバトルのような熱気を帯びていった。
「よく来てくれました」と挨拶し、ツアーを回ってバンドとファンで力強くなった、昔はそれをわかっていなかった、という暁。「今はその〈1個になる感じ〉がとても面白いです。ツアーで強くなった分、見てもらって帰ってほしい」という率直な言葉にフロアからは拍手が起きる。
「TOKYO DOME CITY HALL! 思いっきり確かめ合おう! ここまで積み上げた気持ちを答え合わせしよう!」という暁の言葉から始まった『クオリア』では、その言葉に対して全力で応えようとするダメ人間たち。『「私」と”理解”』では「歌える?」とダメ人間たちに問いかける。
〈ああ「私」は死んでしまった ああ「私」は死んでしまった 誰からも好かれたかった「私」 脆く弱く死んでしまった〉
決してポジティブではない歌詞が、TOKYO DOME CITY HALL中に響き渡る。
「この曲も、目の前にいる君たちに聴いてほしいと思って、歌います」という一言を添えての『ナミダノアト』。『カルマ』から『暁』の間で掲げてあったバックドロップが切って落とされ、まばゆいほどの照明がステージを照らしていった、まるで迷いを吹っ切るような演出。
そしてありったけの力を叩きつけた『残響』、暁の「やっと乗り越えられたから、待たせたな!」と叫ぶ声から始まった『AN REC ODD』、「作った時より優しく歌えるようになった」というバラード『clepsydra』……。
そんな風に演奏、言動ひとつひとつをとっても暁の言葉を借りるならバンドと観客が〈1個に〉なろうとする光景を何度も目にすることができた。それはこの「凸凹」ツアーを経て彼らが獲得した自信からくるものなのだろう。
この日のタイトルに触れ、「4年目はとにかく悩んでいましたね。喉のこと(不調)もまだあったし。にしても、このツアーにアルルカンは助けられました。このツアーがアルルカンを変えてくれた気がします」と暁。
「いっぱいもらったんで、もらったものを研ぎすませていこうかなと思ったんですけど、皆を連れていくには何か足りない気がして。僕は閉じこもり気味なので……、となるとアルルカンが閉じこもりがちになるわけですよ。それは良くないから、もうちょっと沢山感じて吐き出してから考えてみようかなと思いました」と、現在の感情を切々と語る。
そしてこの日配布された『未完成』を披露した。アルルカンの現在を切り取り、なおかつ未来を感じさせる曲だ。