「えんそくでしか味わえないエンタメってあるんですよ」
――「狂い咲き」とタイトルに入っているとはいえ、会場の外の話になってしまったのですが。
ぶう:中野通りの夜桜はすごいですからね。えんそくのライブが終わって、夜の中野通りに照らされた桜が見えたら、最高ですよ。
ミド:えんそくと夜桜、同じ字数ですからね。
ぶう:よ・ざ・く・ら……、4文字なら数えるまでもない!
クラオカ:(指を折り数えながら)……数えた俺もバカだった!
――本当に皆さん相変わらずで何よりです。そして、会場の中の話をしませんか?
ミド:椅子があります!
――それはさっき伺いました。
ミド:天井が高いです!
――ステージの上の話をしてほしいのですよ。質問を変えます。えんそくというバンド、そしてライブの魅力を聞かせてください。
クラオカ:ライブの一体感じゃないですか。振り付けひとつとっても、奇抜だけどやってみたら面白い、みたいな。俺は、そういうところを見て「えんそくに入りたい」と思ったんで。だから、初めてライブに来てもらった人でも、ライブを観て楽しめると思います。
SIN:えんそくのライブって、トータル的なエンタメというか。茶番ひとつとっても、似たようなことをやってるバンドは他にもいるけど、やっぱりえんそくはやってる側からしても違うと感じるので。えんそくというバンドは演奏や歌はプロではないかもしれないけど、ライブをやるプロではあるはず。
――確か、以前の取材ではぶうさんが「ミュージシャンである前にバンドマンでありたい」とおっしゃっていました。改めてバンドの共通認識ということが伺えました。
ぶう:(笑顔でガッツポーズ)
SIN:うまく言葉にするのが難しいのだけど、えんそくでしか味わえないエンタメってあるんですよ。それはライブでしか味わえないし、やってる側としてもそれを裏切ったこともないと思っています。それはライブに来てもらったらわかるはず。
一同:(拍手)
ミド:いいこと言った!
Joe:もう、言うことないです。ユウスケも言ってたように、後ろから全体を観てても楽しいバンドです。それに、いい曲を作っていい曲を演ってる自負もあります。本当にえんそくはいい曲をやってるんですよ。インターネット、YouTubeや音楽配信サービスでも聴けるので。今は入り口がたくさんあるので、「えんそく」とひらがな4文字検索したら出てくるから、かなり簡単ですよね。
ミド:『惡童のススメ』、『惡道に死す』、昨年リリースされた『大惡堂』で、悪の秘密結社・ウシノシタ団3部作、このワンマンが最終回なんです。今のライブを観てもらって、過去をさかのぼってみても面白いと思います。
――「悪の秘密結社・ウシノシタ団」のシリーズは間を開けつつも10年近く続いていますよね。そこに理由はあるのでしょうか。
ぶう:それはですね。やっぱりヴィジュアル系が好きな人、バンギャルさんって軍服が好きじゃないですか。
――やっぱり質問の仕方を間違えました。そういった見た目の話ではなくて。
ぶう:基本的に我々は同じテーマを繰り返しているんですよ。手を変え品を変え、少数派にむけて発信しているわけで。そこで「悪役」に扮し、「正義じゃなくていい」というテーマがバンドのメッセージと合致していたし、自分としても曲に入っていける。相乗効果があったと思います。
ミド:もともとあんまりいいヤツでもないしね。
――3作通してマルチバース展開を経ての大団円という印象を受けました。ここで完結ですか?
ぶう:総決算ですね。やっぱり映画でもなんでも「3」のあるべき姿って、「1」「2」があって、初めて良さがわかる。そういう意味ではえんそくを知ってる人のほうが楽しめると思うかもしれないけど、ミドも言ってたように後から追って理解する楽しみもあるはずです。