オーケストラ奏者、ソリストに室内楽奏者として幅広い活躍を続けるヴァイオリニストの石田泰尚。圧倒的な個性と美しい音色、幅広い音楽性を持つ彼が、信頼する首都圏のオーケストラ奏者を集めて2014年に結成したのが弦楽アンサンブル「石田組」である。今年は彼らが昨年8月に行った演奏会のライヴ録音CDのリリース、そして28か所を巡る全国ツアーが決定し、さらに話題を集めそうだ。
「現在60人ほどの“組員”がいますが、ツアーでは会場ごとに違う奏者が登場し、また演奏曲目も変わります。CDの曲も演奏しますが、録音したときとは違う奏者が演奏する場合もあるのでそれぞれ違った音色をお楽しみいただけると思いますし、収録曲以外の曲も色々と盛り込む予定です」
石田組のコンサートは彼らが一番大切にしているクラシックを第1部、ロックや映画音楽、演歌など様々な楽曲が第2部で演奏される。そのプログラムの幅広さと曲ごとに変わる演奏スタイルが魅力である。
「演奏中は特にジャンルの違いに合わせて演奏を変えるという意識はしていませんが、演奏曲が決定したらその曲を徹底的に聴き込んで、色々な奏法、音圧を試すということはします。あとはテンポやリズムの感じ方は大きく違うので、そこは大切にしていますね。映画音楽でテンポを揺らし過ぎたらおかしいですし、ロックは頭拍が大事なのでそこはぶれないように、というところなど。あとはリハーサルで組員から提案をもらうということもありますね。ある程度の方向性を定めたら、あとは本番でその時の空気感も感じながら演奏していく…という感じです。全員がオーケストラ奏者なので、お互いの音や空気を感じて演奏するというのは慣れていますし、毎回とても楽しく演奏させていただいています」
今回リリースされるCDもハードロック・バンドのレインボーやクイーンの楽曲に「ニュー・シネマ・パラダイス」などの映画音楽を経てヴィヴァルディの「4つのヴァイオリンのための協奏曲」、バルトークの「ルーマニア民俗舞曲」などが演奏される色彩豊かなプログラム。改めて石田組の音楽性の広さ、その音色の多彩さを実感できることだろう。CD、生演奏両方でそれを堪能してほしい。なお、ツアーでは時々組長がサプライズをしかけることもある。それが何かを目撃すべく全国追ってみるのも楽しいかもしれない。
「今回のツアーでは石田組として初めて北海道、秋田、仙台、福島、京都、佐賀、熊本、鹿児島を訪れます。色々なジャンルをお届けしますので、多くの方にお楽しみいただけるはずです。まずはぜひ一度お越しいただければ嬉しいです」