外遊びで子どもが怪我をしたときの応急処置は?
調査をふまえて、日本小児科学会小児科専門医で日本小児科医会常任理事の塙佳生先生に、病院を受診する前の家庭での正しい応急処置のやり方について教えていただきました。
1:水道水で傷口をよく洗う
外傷でも軽い火傷でも、まずは水道水で患部をよく洗います。
今、人間が本来持っている自然治癒力を最大限に引き出す療法として「モイストヒーリング」が注目されているのだそう。別名を閉鎖療法または湿潤療法とも言われ、患部を湿ったまま密封する傷ケア方法を指します。
湿ったまま密封することで、傷口から細胞の成長や再生を促す成分が含まれる体液が出てきて、これを傷口に保持することで自然治癒力が引き出されるのだとか。傷が早く治るだけでなく、傷跡が残りにくいというメリットがあります。
「モイストヒーリング」のためには、まず傷口を洗ってばい菌をできるだけ流すことが重要です。
水をかけると傷口が痛むので子どもは嫌がりますが、最初の処置が肝心! 異物や細菌が残っていると感染の原因となるため、しっかりと洗浄してください。
2:傷口を抑えて止血する
傷口を洗い流してもまだ出血が続いている場合は、清潔なタオルやティッシュで傷口を抑えて止血を。火傷の場合は、氷水などで冷やします。
水ぶくれができている場合、無理に破る必要はありません。表皮と真皮の間に先ほどの体液がたまっている状態のため、そのままのほうが自然治癒力が高いそう。もし破いたらすりむき傷と同じ扱いになります。
最も重要なことが、消毒液を使うのはNG! なんとなく、傷=消毒液というイメージがありますよね。実際、アンケートでは応急処置のために持ち歩いているアイテムの2位が消毒液でした。
でも、その知識は昔のものなのだとか。今は、消毒することで皮膚再生に必要な細胞増殖因子の働きを阻害したり、傷口の細胞を殺してしまう恐れがあることから、モイストヒーリングで傷を治すなら消毒液は使わないほうがいいのだそう。
このお話には、筆者も目からウロコでした。昔は、ケガといえば保健室で消毒というイメージがありましたし、家にも消毒液を常備していたものです。
今後は傷口は洗い流して消毒はしない、と覚えておくといいですね。
3:救急絆創膏で傷口を保護する
モイストヒーリングの大敵は乾燥。傷口の乾燥を防ぐため、市販の絆創膏を使って保護します。絆創膏には乾燥防止はもちろん、傷口を清潔に保ったり、新たな傷ができるのを防いだりする効果もあります。
絆創膏は、傷口を全部覆える大きさのものを選びましょう。
さらに、体液を保持する素材の絆創膏が最も「モイストヒーリング」に効果的。おすすめの絆創膏をご紹介します。