偶然から生まれたひょうちゃん
崎陽軒の看板商品である冷めてもおいしいシウマイが発売されたのが昭和3年。当時のしょうゆ入れはガラス製だったという。しかし崎陽軒本社にもそのガラス製のしょうゆ入れは残っていない。残念!
戦後、ガラス製から磁器製になり、今のしょうゆ入れの前身が誕生する。貴重な磁器製のしょうゆ入れが展示されていたので見てみると、あれ?すでにひょうたん型だけど、のっぺらぼうで顔がない。
水筒などがなかった時代、私たちの祖先はひょうたんや竹に水を入れて持ち歩いていた。そこからヒントを得て、しょうゆ入れが磁器になった時から今日に至るまで、ずっとひょうたん型を貫いている。
ちなみにこのしょうゆ入れ、陶磁器の産地で有名な愛知県で製造されているのだとか。
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のっぺらぼうのしょうゆ入れに、顔を描き入れたのが、漫画「フクちゃん」の作者として有名な漫画家の横山隆一さん。横山さんはのっぺらぼうのしょうゆ入れを見て「目鼻を描いてあげよう」と、顔を描き入れてくださったようだ。
ひょうちゃんの名付け親も横山さん。こうして昭和30年に48種類の初代ひょうちゃんが誕生した。つまり崎陽軒のキャラクター・ひょうちゃんは、企業のキャラクターを作りたくて生まれたのではなく、偶然の産物であったのだ。
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初代ひょうちゃんは33年間もシウマイのお供をして、2代目にその役目をゆずる。
オサムグッズで知られたイラストレーターの原田治さんが手掛けた2代目ひょうちゃんは、昭和63年から登場。創業80周年を記念しての代替えだ。
2代目からは、しょうゆ入れに大と小ができるという変化があった。ひょうちゃんの頭に栓がついているのが大で、顔の横に栓がついているのが小だ。
シウマイの数によってついてくるしょうゆ入れの大きさも変わる。絵柄だけで80種類もあるのに大きさの差だけでなく、青・緑・ピンク・茶と計4色あったため合計で640種類もあった。どれだけのシウマイを食べたら全種類揃ったのか……。
そして現在出回っているのが3代目ひょうちゃんだ。平成15年の横浜工場リニューアルに併せて、横山さんが手掛けた初代ひょうちゃんの絵柄を復活させた。絵柄は同じなので48種類だが、初代はサイズが1種類だったところを3代目は大小あるので全部で96種類ある。
2代目の原田ひょうちゃんと、3代目の横山ひょうちゃんが混合されて販売されることはないから、今は3代目しか手に入らない。もちろん購入できるものでもないので、ひょうちゃんを集めるには、シウマイを食べるしかない。