「一年ほど関係が続いている会社の先輩は結婚していて、不倫とわかっているけどずっと口説かれ続けて私もその気になりました。
最初の頃は、『今日もかわいい』『君のために仕事をがんばる』『ご褒美にランチに行ってくれたら生きていける』みたいに甘い言葉をたくさん送ってくれて、3年も彼氏がいなかった私にはすごい刺激でした。
先輩は『妻とは冷めきっているから』とずっと繰り返していて、実際に愛妻弁当なんて見たことないし、休日もある程度自由で私と会う時間もちゃんと作ってくれたので、そうなのだろうなと思っていました。
ホテルに行ったりドライブしたり、不倫だけど独身の男性とお付き合いしているような感覚で、『このままずっと続けばいいな』なんて思うこともあったのですが……。
あるとき、平日の仕事帰りに食事に行く約束をして、ふたりでお店に向かっていると先輩のスマートフォンが鳴り、画面を見た先輩の顔が険しくなりました。
眉をしかめながらチッと舌打ちする様子で奥さんかなと一瞬心が冷えたのですが、もっと怖かったのが次で、応答をタップしたと思ったら今度は明るい笑顔になって「もしもし。どうした?」って優しい声で言ったのですよね……。
その変貌がすごくてあっけに取られていたら、『ああそうか、わかった。俺はまだ仕事だから、先に休んでいて』とすぐ会話は終わり、スマートフォンをポケットにしまいながら先輩が『ごめん、妻からだけど調子が悪いからもう寝たいって連絡で。そんなのいちいちしなくていいのにな、面倒くさい』と困った顔で言うのですが。
『冷めている』奥さんにこんな態度をとるのだ、確かに愛情が感じられるような会話じゃないけれど、表裏の激しさに引きました。
そのとき『私のことも嫌いになったらこんな対応をするのかも』とふと浮かび、信じられないなと思いましたね。
不倫する男性ってこんな感じの人が多いのかなとも思いますが、自分に見せる顔が全部じゃない、と改めて感じると付き合うのを考え直します……」(30歳/経理)
配偶者との不仲や不和を強調して不倫する既婚者は多いですが、実際に配偶者にどんな対応をしているのか、目の前で見る姿に悪いギャップがあるとそれで愛情が萎えることがあります。
配偶者と穏やかに話しながら自分の前では不快感を隠さないような様子は、「自分もこんな扱いを受けるのでは」と想像しますよね。
不倫をする時点で誠実でないのは当然ですが、人との向き合い方にやはり異常さは出る、と感じます。