採用戦線真っ盛りの今、いろいろな学生さんと出会えて楽しい日々を送っている人事担当もいれば、そうでない担当もいます。

今回は、そんな喜怒哀楽に包まれた「人事担当たちのエピソード」をお話します。

 

大学からクレームを受けた圧迫面接官A部長の末路

誰もが嫌な圧迫面接。ある中堅商社の営業部長を務めるAさんも、最近の学生はだらしない、時間の無駄と、面接担当になること自体をいやがっている一人でした。

そしてその面接手法は、典型的圧迫面接。Aさんの面接を受けた後に辞退する学生が頻発し、人事も頭を悩ませていましたが、実力者のAさんを面接から外すわけにもいかず、インターネット上でも圧迫面接で有名な会社としてちらほら名が上がっている事態に至っていました。

そしてある日、大学から「御社の面接をうけた学生から、御社の面接担当A氏の面接手法、面接時に暴言を吐かれたなどの苦情が寄せられたので、改善してほしい」との文書が届いてしまう有様でした。

さすがに無視できなくなった人事は役員に相談。役員からの指示は、過去Aさんの面接を受けた社員に、面接を受けてどう感じたかを、人事考課には関係ないとの約束の元、聞き取り調査することでした。

「確かに圧迫感はある。でも、A部長の熱意を感じて、この会社に決めた」
「面接時に自分のダメなところをきちんと丁寧に指導してもらえた。むしろ、A部長のおかげで内定まで至ったんだと思う」
「ダメだしは確かに行き過ぎ。ただ論点がずれていないので、むしろ好感を持てた。指導力は実際の現場でもあると思う」

現場社員からはA部長が優秀な面接担当であるとの声が続出し、聞き取り調査を指示した役員からも、「これはA部長がすこし圧迫気味で行き過ぎだが、それに耐えられない学生に問題があるんじゃないか」との結論に達しました。

これをA部長に伝えると、「自分では指導のつもりだったが、面接では初対面、圧迫面接と言われても仕方ない。深く反省する」との答えが返ってきて、人事も一安心していました。

しかしそれからが問題、A部長が面接で圧迫をしなくなった代わりに完全に好好爺になってしまったため、学生から「しまりのない面接」「なにを答えても、そうですか。そうですかと、基準がよくわからない面接」との声が、インターネット上であがり、逆に内定受諾率が下がる結果に陥りました。圧迫面接が正しいのか、ゆるい面接が正しいのか、人事担当は今日も頭を悩ませています。