ある信条とともに滅亡した社長
今年で創業30年。web制作では老舗といわれているB社のC社長は、人事を悩ませるとんでもない癖のある人物でした。
男尊女卑甚だしく、もちろん社長面接でも、女性にだけ彼氏はいるのか。出産したら辞めるのかなどを聞いてしまう癖がありましたが、不思議と苦情やインターネットにその情報はながれず、いままで新卒採用をしてきました。
なぜなら、C社長は「女性差別する女性社長」だったのです。女子学生の応募者からしてみれば、まさか女性社長が女性差別をしているとは思わず、親身になって将来を考えてくれていると誤解していたのです。
入社後は女性に対して非常にヒステリックに接してくるこの仮面社長に対し、ある女性が立ち上がりました。人事で採用を担当していたDさんです。日頃から社長に近い存在のため、女性にのみヒステリックな社長の言動にうんざりしていたDさんは、会議で独演会を開く社長の言動を録音することに成功しました。そしてDさんは友人の力を借りて、ネット上に音声を公開しました。その音声とは……
「女性社員は顔で選ぶもので、男性社員の結婚相手として入社させるにすぎないのよ。だいたい女が戦力になるわけないじゃない。女は私だけで十分なのよ」という、5分程度の録音がネット上で大反響になりました。ネット上で、「ナチスみたい」「恐怖女の会社」など……。
結果、その年の内定者は8割が辞退。在籍社員も、女性を中心に離職者続出、各種採用媒体からも見放され、急激な人手不足に陥りました。その結果、安易に中途採用の大量公募に手を出した結果、社員のレベルが急速低下し、受注難に陥る結果となりました。
もちろんその前にDさんは、すっと退社。2年後、業界の老舗と言われたB社は、この世から消えることになりました。社長の人事採用に関する方針の一言が、会社を死に追いやったのです。