劇中歌「ウィッシュ〜この願い〜」2番はすごく開放的
――本作は、生田さんが唄われた劇中歌「ウィッシュ〜この願い〜」が流れるところから物語が大きく動き出しますが、どんな想いで、どんなことを気をつけながらあの曲を唄われましたか?
この楽曲に乗ってアーシャの心情が変化し、同時に“願い”に強い力が宿っていくんですよね。
なので、曲の流れや構成はすごく考えました。1番と2番は同じメロディだけど、1番はまだ確信を持てていない、自分に言い聞かせているような感じに私には聞こえて。
その葛藤を経て、決心した後の2番はすごく開放的なんです。
心が解かれているような印象を受けたので、自分が唄うときも、曲の流れに乗ってアーシャの心情の変化をちゃんと辿っていくことを意識しました。
――アニメーションを見ながら唄った方が、気持ちも乗りやすいですか?
それはすごくありますね。ただ唄うよりも、モニターでアーシャの表情を見ながら唄った方が気持ちがグッと高まりました。
英語版の本編を見てからアフレコしたのもよかったと思います。
ストーリーが身体に入ってから唄うと、声の表現もまた違って。心情が本当に大事になってくる楽曲なんだと改めて思いました。
――ふたりの歌声が入った完成版を初めて見たときはどう思われました?
感動しました。福山さんとデュエットしているという感動ももちろんありますし、福山さんがハーモニーを寄り添って唄ってくださっているのが歌越しに伝わってきたので、そこにもとても感動しました。
大きな壁にぶち当たったときの乗り越え方とは
――アーシャは挫けそうになっても、みんなのために立ち上がる女の子ですが、生田さんは挫けそうになったときや大きな壁にぶち当たったときは、それをどうやって乗り越えられてきましたか?
私、意外と抜け出せないことも多くてで、沼ることもあるんです(笑)。
ただ、以前は動揺して“抜け出せな〜い!”って思っていたけれど、いまはなんか、“あっ、沼だ”という感じで受け入れるようになって。
「誰かいませんか〜? 助けてくださ〜い」みたいなことも言えるようになってきたし、“沼ったけど、この沼を茶色じゃなくて違う色にできないかな?”みたいな風にも考えられるようになりました(笑)。
そんな感じで、ちょっとずつ変化していけたらいいな〜と思っています。
この先叶えたい夢、絶対に諦めたくない夢
――最後の質問です。アーシャは“願い”の力を強く信じて、夢を叶えていきますが、生田さんがこの先叶えたい夢、絶対に諦めたくない夢を、壮大なものと身近なものの2パターン教えていただけますか?
小さい方から先に言うと…餃子を食べたい!(笑)。
私、意外と脂っぽいものが好きなんですけど、人と会う大事なお仕事やシチュエーションが続くときはやっぱり食べるのを控えるので、どっかで餃子を食べる時間を作りたいですね(笑)。
で、大きな夢は……大きな夢?…規模の大きな夢というのではないけれど、長くステージに立ち続けられたらいいなという願望はあります。
長く続けられている人って、人生を何周もしている感じがして。私がいま悩んだり、もがいたりしているようなことを超えてきた人たちの考え方ってすごくカッコいいなって思うし、その人たちにしか見えない視点があるような気がするんですよね。
なので、私も時間をかけて、その視点を知っていけたらいいなと思っています。
話を聞けば聞くほど、アーシャと似た方だな〜と思わせてくれた生田絵梨花。インタビューでは「なかなか言えないこともあって…」と言っていたが、言葉の端々に、どんなことにも妥協せずに真っ直ぐ突き進む強い意思と新しい状況にも瞬時に対応できるしなやかな感性が感じられた彼女が、アーシャの声を担当することになったのは運命的な必然だったのでしょう。
『ウィッシュ』日本版のアーシャの言葉の数々に熱いものが感じられ、観る者の心に突き刺さり、揺れ動かすのは、生田がそのひと言、ひと言に心を込めているから。
彼女が唄う「ウィッシュ〜この願い〜」に胸が高まるのも、それがただの歌詞ではなく、真の思いが込められた生きた言葉たちだから。
『ウィッシュ』日本版を映画館で観るのは、それを実感できる幸福な時間でもあります。
生田絵梨花が福山雅治らとともに完成させたミュージカル・アニメーションの魅力、力強さを自身の五感でしっかり受け止めて欲しい。