高城れに(ももいろクローバーZ) (ヘアメーク:竹内美紀代(KIND)/スタイリスト:寄森久美子(ワンダースタイル)  (C)エンタメOVO

 ももいろクローバーZの高城れにが初めて単独舞台主演を務める「最高の家出」が2024年2月に上演される。本作は、それぞれの“家出”が重なり合って生まれる、ファンタスティック迷走ストーリー。高城は、結婚生活に疑問を感じ、家出する立花箒を演じる。高城に舞台出演への思いや20代の頃の家出エピソード、ももクロ15周年イヤーへの思いなどを聞いた。

ーまずは、本作への出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

 めちゃくちゃうれしかったです。ももクロとしては、たくさん舞台に出演させていただいてきましたが、なかなか単独で出演する機会がなかったんです。私は舞台を見るのも好きですし、いつかこうしたお芝居もやってみたいと思っていたので、一人で飛び込むという夢がかなってうれしかったですし、頑張りたいと思っています。

ー不安やプレッシャーよりも喜びの方が大きかったんですね。

 そうですね。初の単独の舞台は私にとって宝物になると思います。大事に演じ切りたいなと思いました。

ーもともと、お芝居に対する憧れがあったんですか。

 ずっとありました。ももクロに入る前から映画を見るのも好きでしたし、中学校の文化祭でも率先して台本を書いて、友達と劇を作ったりしていました。

ー初の座長になりますが、それについてはいかがですか。

 大丈夫かなと(苦笑)。(本作の脚本・演出を務める)三浦(直之)さんの作品はユニークで、すごく夢があって、温かい作品ですが、今回、共演する皆さんは演劇のプロの方々ばかりなので、そういう意味では不安もあります。

ー三浦さんの脚本を読んだ感想を教えてください。

 前回、見させていただいた三浦さんの作品もそうですし、この作品の脚本を読ませていただいたときも、三浦さんのお人柄がすごく出ているなと感じました。まだ直接お話ししたことはそれほどないのですが、三浦さんは少年心を忘れていない方という印象があったので、それが三浦さんの作品にも反映されているのだと思います。大人になるにつれて、自分の居場所だったり、自分自身の中の葛藤だったり、たくさん悩むことはあると思いますが、そうしたこともしっかりと盛り込まれて描かれているので、どの世代にも響く作品になるのではないかなと思います。ファンタジー要素もありながらも、私たちの日常生活にも近い物語です。演劇を見ているはずなのに、誰かのリアルな生活をのぞき見してしまっているような、もっというと自分も気付いたら参加しているような気持ちになるのが三浦さんの作品の特徴だと思うので、見に来るというよりも参加しに来る感覚でご覧いただけたらと思います。

ー高城さんが演じる箒という役柄については、今はどんな印象を持っていますか。

 箒ちゃんはいろいろなことに葛藤している人です。自分自身との葛藤だったり、自分が置かれた環境に対しての葛藤だったり…。内向的ですが、意志は強い。自分はこのままではだめだという気持ちが強くて、その気持ちをしっかりと行動に移せる。だからこそ、家出をして、本当の自分の居場所や自分の存在価値を見いだしていく。すごく弱いけど強い、そんな女性だなと思います。

ー共感するところや理解できるところはありますか。

 私自身の今までの生活でもそうですし、グループ活動していく中でも、自分の立ち位置ってなんなんだろうと考えることも多かったので、そこは箒ちゃんとかぶるところだと思います。箒ちゃんはすごくユニークな女性で、自分の中の世界がしっかりあるのですが、私は昔から一人遊びや妄想が得意で、これが現実になったら楽しいなと自分の思いがしっかりある子どもだったので、そこも箒ちゃんと似ているところかなと思います。

ーところで、2023年はももクロ15周年の記念イヤーでした。15周年について、改めて今の思いを聞かせてください。

 本当にあっという間でした。今年は、これまでを振り返る機会もたくさんあったのですが、改めて振り返ってみても、それぞれが濃かったなと思います。あっという間だったという感覚なのに、一つ一つ、それぞれの思い出はしっかりあるという、今まで味わったことがない不思議な感情です。正直なところ、10周年のときは今のように色々な感情にはならなかったんですよ。ですが、10周年から15周年のこの5年間が本当に速かった。コロナ禍もあって、大変な時期でもあったから余計にそう思うんだと思いますが。私は今年30歳になって、人生の半分をももクロとして過ごしているのですが、10代から30代にかけての青春時代をももクロで活動できたことは、今後の人生においても大きなことだったと改めて思いますし、たくさんのものを得て、たくさんの出会いがあった宝物のような15年間だったなと思います。

ーももクロとして活動する15年間の中で、一番大きな変化は?

 私はももクロに入る前は、極度の人見知りだったんですよ。幼稚園の頃が一番ひどかったのですが、毎日通っていても友達ができなくて。話しかけてもらっても話せないし、ずっと先生におんぶしてもらっていました。大人になってからもそれは治らなくて、人前に立つのも得意じゃなかったです。ですが、ももクロに入って、人前に立つようになって、メンバーと家族以上に長い時間を一緒に過ごしてきた中で、どんどん自分が変わってきたと思います。社交的になりました。

ー30歳という節目の年でもありますが、意識することはありますか。

 あまりないですが、フェスなどで年齢を言うとざわつくんですよ(笑)。その時に自分の年齢を実感します。

ー年齢よりも若く見えますから。

 そうなんですかね? これをいうとメンバーから怒られるんですが、自分の中ではまだまだ制服はいけると思ってます(笑)。でも、そういう年がいもないことにも挑戦していきたいと思っています!

ー俳優としてはどんな夢や目標がありますか?

 自然な演技ができるような女優さんになりたいです。事務所に入りたての時に『花とアリス』という映画を見て、蒼井優さんの演技にすごく引かれました。どこからがせりふで、どこからがせりふじゃないんだろうというような、自然体のままなのに、きちんと役になっている。内側から出る魅力がある女優さんになりたいです。

ーでは、本作にちなんで、高城さんは、家出をしたいと考えたことはありますか。

 私、“家出魔”なんですよ(笑)。数年前に家出をしました(笑)。ある冬の12月に家出をして、行く先もなかったので、上着も着ないまま、とある観光スポットに行きました。一人でベンチに座ってコーンスープで暖をとっていたんですが、日が暮れてくるとイルミネーションがすごかったんです。そうするとカップルやファミリーがわんさかきて。一人で何やってるんだろうと思いながら、このまま帰るのもなんか癪で…。それで、「イルミネーションをきれいに撮れるか選手権」を1人で開催して、スマホで撮影してました。そうしたら、母から電話がきて「おそばとるけど何そばがいいの?」って言われて、家に帰りました(笑)。

ーその家出の原因は何だったんですか。

 その日はお休みだったので、母から「朝から出かけよう」って言われてたんですけど、眠くて眠くて起きられなかったんです。そうしたら、母は「昼からでもいいから出かけよう」と言ってくれたんですが、私はせっかくの休みなのに…って、そんな訳が分からないけんかです(笑)。

ーそれでは、最近、高城さんが「最高だな」と思ったことは?

 横浜です! 地元が大好きで。育った土地というのは本当に落ち着きます。なんていっても、家出をしても横浜から出なかったくらいなんですから(笑)。

(取材・文・写真:嶋田真己)

 パルコ・プロデュース2024「最高の家出」は、2024年2月4日(日)~24日(土)に都内・紀伊國屋ホールほか、高知、大阪、香川、宮城、北九州で上演。

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