お通じのことは家庭や学校で教わる機会がほとんどありません。そのため、対処が自己流になりがちで、不安を抱えている方も少なくないようです。

なかでも便秘は、合わない薬を使うなど対処を間違えるとさらなる不調につながる場合もあります。

そこでこの記事では、便秘の仕組みと、自分でできる対処法・セルフケアの方法をあんしん漢方」の管理栄養士が解説します。

便秘はなぜ起こる?

慢性便秘症診療ガイドライン2017によると、便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。つまり、毎日便が出ていたとしても、スッキリしないのであれば、便秘の可能性があるということ。

平成28年国民生活基礎調査によると、便秘の自覚症状がある方は日本人女性の4.8%。20歳以上に限ると、20代が一番少なく、年を重ねるにつれて、便秘を自覚する方の割合は増えます。

便秘は原因によってタイプが分かれます。不規則な生活やストレスなどが原因で腸が緊張してしまい、ウサギのフンのようなコロコロ便になるタイプ。運動不足や食事の偏りで腸の動きが鈍くなり、太くてかたい便になるタイプ。腸内環境の悪化により腸の動きが乱れ、便秘と下痢を繰り返すタイプ。また、大腸がんなどの病気の影響でも便秘は起こります。

どのタイプに当てはまるかがわからず、いくつかのタイプが合わさっている場合や、どのタイプにも当てはまらないという場合もあります。

便秘を放っておくとどうなる?

便秘を放置すると、おなかの膨満感や不快感以外にもさまざまな症状が引き起こされます。便が長く腸にとどまることで腐敗が進み、有害物質が産生されやすくなることも。有害物質が吸収され、血液によって全身に運ばれることは肌荒れの原因にもなります。

また、腸内環境の悪化は、細菌やウイルスが腸内に侵入するのを防ぐ腸管免疫の機能低下にもつながるため、感染症にかかるリスクも高めます。

最近では、腸と脳の働きが影響しあっていることが知られており、便秘によるストレスの増加や自律神経のバランスの乱れなども懸念されているので注意が必要です。