1年を見渡してみると、日本にはクリスマスなど海外から伝わった行事や平安時代や室町時代から続く伝統的な行事までさまざま。

3月3日のひな祭りといえば、女の子のお祭りで、お雛様を飾って、ひなあられを食べる。それから、お雛様はしまうのが遅くなってしまうと、嫁に行き遅れてしまうらしい・・・など、大まかにはわかっているつもりでも、その由来やひな人形やお供え物の意味についてなど、意外と知らないことも多いかもしれません。

今回は、
過去の記事:「豆まき」「恵方巻」の由来は? 子どもにも教えたい「節分」の豆知識[https://ure.pia.co.jp/articles/-/20067 ]
に続き、子どもたちにわかりやすく教えて伝えていきたい日本の季節行事「ひな祭り」のあれこれをご紹介します。

 

ひな祭りの由来は?

ひな祭りは桃の節句と言われ、女の子の健やかな成長をお祈りするお祝い事。

いつから始まったのか、どうして始まったのかなどの由来について調べてみたところ、いくつもの説があるようです。

中国から伝わった習わしとする説や、室町時代、紙で作った人形〔ひとがた〕で体をなでてけがれを移し、川海に流すことで無病息災を祈った「流し雛」という風習と遊び事であった「雛あそび」が融合し、貴族の間で人形を飾り、祀るようになったという説などがありました。

史実として語られている中には、寛永三年(1626年)に、二代将軍徳川秀忠の娘和子が江戸から京都の後水尾天皇に嫁ぐ時の宮中へのみやげに、御雛道具があったのだそうです。

そのことから、既にこの頃には、江戸ではひな祭りが行われていたこと、またまだ一部の貴族に限られていたようですが、花嫁道具の1つとして雛人形を持っていっていたこともわかります。

その後、芝居や物語を通して、一般の人々も王朝文化や宮廷生活を知ることとなり、「ひな祭り」が、華やかな行事として武家や町民にも定着していったのです。

 

ひな人形のそれぞれの役割やお供え物の意味は?

ひな祭りにはひな人形を飾るのが一般的ですが、では、なぜ、ひな人形を飾るのでしょうか。

それは、女の子が生まれて初めての節句を「初節句」といい、親が子どもの身代わりとなって災いが降りかからないように、という思いが込められたひな人形を贈ります。

そして、毎年、ひな人形を飾ることで無病息災を願うのです。

元々は、先にご紹介した、後水尾天皇の中宮だった徳川和子(東福門院)が、女帝・明正天皇に即位した娘の興子内親王の幸せを祈り、作られた座り雛が、起源だとされています。

 

それぞれの人形の役割は、
■内裏雛……あるいは親王(男雛、女雛)と呼ばれ、それぞれ天皇、皇后をあらわしています
■三人官女……宮中に仕える女官をあらわしており、その内1人のみお歯黒、眉無しです。既婚、または年長という意味があるのだとか
■五人囃子……お囃子を奏でる5人の楽人をあらわしており、向かって右から楽器が小さい順番に、謡(うたい)、笛(ふえ)、小鼓(こづつみ)、大鼓(おおづつみ)、そして太鼓(たいこ)の順に並べます
■右大臣と左大臣……向かって右が左大臣で年配者、向かって左が右大臣で若者。いずれも武官の姿をしています
■仕丁……従者をあらわし、通常3人1組

となっていますが、現代では、住居の広さや置き場所などのこともあり、お雛様とお内裏様だけの平飾りや二段飾り、三段飾り辺りが人気のようです。

また、お供え物にも意味があります。

■桃の花……厄除け
■白酒……体から邪気を払う
■草もち……よもぎの香が邪気を払う
■ひし餅……桃の花や太陽を表す赤には邪を祓う力があり、雪に見立てた清浄なる白に、魔除けになるヨモギの緑は、新緑や大地を表している
■ハマグリ……2枚貝が貞節を象徴している

それぞれに意味がありますが、自然のエネルギーを授かり、健やかに成長できるという意味があるようです。