対して1.6Lエンジンは?

通常ダウングレードされた排気量のエンジンは非力さが目立つのがあたりまえだ。上り坂になると、エンジン回転に頼って、なんとかクリアというパターンも多い。正直2.0Lエンジンを試乗した後だったので、より非力感が増すだろうなと感じていた。

しかし、その予測は完全に裏切られた。そのスムーズさ、常用速度での安定性は、1.6Lエンジンとは思えない。ターボエンジンらしいエンジン出力のピーキーな変化もなく、非常にジェントルな大排気量エンジン搭載車を運転している感覚。排気量を教えないで運転席に座ったら、2.0L 、いや2.5Lエンジンを積んでいると答える人が続出するであろう。ターボがほどよく全回転域のトルクの向上に貢献し、もはや全回転域が実用回転域といえる傑作エンジンと断言したい。

もちろんスポーティな走行をしようと思っても、十分な馬力をもつエンジン。これがレギュラーガソリン仕様という点に、再度驚かされる。
 

ボディ剛性と乗り心地は?

車はエンジンがいくら良くても、ボディが負けていると、前述の破綻をきたすドライブを生んでしまう。その点、『LEVORG』はどうなのか。

コーナリングが極めて安定していることは、すでに述べた。それではと、日本との道路によくあるわだちや細かいアップダウンの路面も体験した。ボディの造りが悪かったり、サスペンションの質が悪いと、妙にゴツゴツした走行感になったり、いつまでも揺れが収まらない状態になってしまう。それが……ない。

 

コーナリング出口で加速しても、揺れはもともと無かったかのようにすぐに収束する。アップダウンでもゴツゴツすることなく、路面からくる乗員に対する不快な振動を与えないように静かにサスペンションが追従していく。

スバルが強調する低重心、そしてボディ剛性の高さとサスペンションの優秀性がここでも実証された。快適きわまりなく、後席の乗員にも好評であった。