2013年11月、東京モーターショーで一つのどよめきが会場を走った。スバルが世界で初めて新型車『LEVORG(レヴォーグ・LEGACY REVOLUTION TOURING)』のプロトタイプを発表したからである。ハイブリッド車全盛の時代にあって、あえてハイブリッドで無い新しいジャンル、リアルスポーツツアラーとしてこの春いよいよデビューする『LEVORG』、その姿を追ってみたい。
『LEGACY』の派生じゃない、あたらしい矜持(プライド)を胸に秘めた車
当時業績が低迷していたスバル復活の中興の祖となった、ツーリングワゴンの代名詞、『LEGACY(レガシィ)』の初代発売から25年が経過した。いまや『LEGACY』は、日本の車から世界からのあらゆるニーズに応える車へとシフトしつつある。
そんな中、『LEGACY』、『IMPREZA(インプレッサ)』、『FORESTER(フォレスター)』と立て続けにホームラン級のヒットを飛ばすスバル社内で密かに温められていた企画。それが、日本の道と日本人のための、日本人が作るスポーツツアラーだった。
『LEVORG』開発責任者の熊谷泰典氏(以下熊谷氏)は「日本の道ならいつでもどこでも本当の意味で“走る”車が作りたかった。やっとそれが『LEVORG』で実現できたと感じている」と語る。
さかのぼること『レオーネ』時代から培われた「4輪駆動(4WD)といえばスバル」というイメージを大切にし、『LEVORG』全車にももちろん、雪道にも峠道にも強いAWDを搭載した。他メーカーではハイブリッド車全盛だが、実はハイブリッド車で4輪駆動という組み合わせの車は少ない。一部例外のように、ホンダの一部車種に搭載されているだけだ。そこであえてスバルはハイブリッドという選択肢を採らず、走りを劇的に進化させるターボエンジンとAWDに徹底的にこだわった。
ターボエンジンと聞くと燃費が悪いイメージがつきまとうが、『LEVORG』用に新規開発された「1.6L直噴ターボDIT」は、ターボエンジンでは考えられないレギュラーガソリン仕様。そして170馬力(PS)の高出力を発揮して、17.4km/l(2015年燃費基準+20%達成)の低燃費を実現している。「2.0L直噴ターボDIT」に至っては、300馬力という超越した高出力エンジンでありながら、13.2km(2015年燃費基準達成)という低燃費を実現している。重ねて言うが、この燃費はどちらもターボエンジンでたたき出した数値である。