――そんなルールがあったんですね。知らなかったです。

「えぇ。 たぶん、最近の若い撮り鉄たちも知らない人が多いんでしょうね。 テレビや雑誌などで話題になってから鉄オタ全体の人口が増えました。 言ってしまえば「にわか」が増えたんですよね。

私が若いころは先輩の撮り鉄さんたちなどからいろいろなことを教えてもらったんですけど、今はそういうコミュニケーションはまったくと言っていいほど無いですね。」

――鉄オタの世代交代に失敗したと?

「失敗というか。 わからないんでしょう。 やり方が。 注意する側も怒鳴るだけで、理由を教えない。 ルールを知らない若い撮り鉄たちも理由がわからないままだから反発する。 マナーって言葉として言うだけじゃなくて、ちゃんと教えないと身につかないですよね。」

――「綺麗に撮りたい」という欲で動いているわがままな人も多いのでは?

「確かにそういう人もいますね。 編成厨という人たちの一部で、電車の編成を全て1枚の写真に収めることに燃える人たちがいるんですが、(他の鉄オタたちなどの)余計なものが写り込むのを彼らは極端に嫌います。

あけぼのについては深夜ということもあって、綺麗に撮れる場所を探すと大宮駅しかなかった。 その結果、さまざまな撮り鉄たちが集結して、みんな必死だったんだろうなと思います。」

――つまり「大宮あけぼの騒動」は起きるべくして起きたと。

「そうなりますね。 こういう話がネットで話題になるたびに鬱な気持ちになりますね。」


話をまとめると「若い鉄オタの急増」と「撮り鉄のルールをしっかりと継承されていない」ことが問題なのだそうです。 他にもデジタルカメラが入手しやすくなったこともあり、軽い気持ちで撮り鉄の世界に踏み込む人が増えたことは嬉しい反面、後輩の良き手本となるべき先輩鉄オタたちとコミュニケーションが無く、オタクのルールを継承できていないことが何よりも問題なのだと話してくれました。

先輩と後輩の正しい交流が出来るかどうかが、今後の鉄オタ事情を左右することになるのかもしれません。

 

鉄オタも迷惑している「キチ鉄」たち

鉄オタ全体に増加している「キチ鉄」についてはどう思っているのか。
引き続きEさんに聞いてみた。


――1年前に起きた「しなの鉄道」沿線の桜が無断で伐採された事件を覚えていますか?

「あぁ…。 よく覚えています。 あれは酷い事件でしたね。」

 

 

 

――状況的に見て撮り鉄のしわざだと言われていますがどう思いますか?

「私もあれは撮り鉄だろうと思います。 電車を綺麗に写したい。 編成厨のように邪魔になるものは何であっても許せないという思想を感じます。 あのようなことをするのは一部の極端な人たちなんで、全体がそうだと思われるのは困りますね。」