――そこにあるものも含めて景色・風景だと思うんですがねぇ…。
「そうですね。 はっきり言って、私も犯人を許せません。 綺麗に撮りたいからと言って、あんなことをしてはいけないでしょう。 マナーうんぬんというより、人としてどうかと思います。」
――本来の撮り鉄ではないと?
「イレギュラーな存在です。 すごく異質な存在です。 なんでそこまでやっちゃうのか理解できません。」
――最近はオタクを狙った業者も多いですよね。 そういう人たちである可能性はどうなんでしょう?
「ん~…どうでしょうね。絶対にないとは言い切れませんが、撮り鉄に関してはほぼ無いと思います。」
――なぜそう思うんですか?
「撮り鉄で言えば、写真そのものにそこまで価値はないんです。 はっきり言って。 私たち撮り鉄は現地に行って、自分でカメラを構えて、そして自分でシャッターを押したというプロセスが重要なんです。 体験と結果が合わさって、初めて価値が生まれるんですよ。」
――特殊な価値観ですね。
「だから、私たち撮り鉄の間で写真のデータを交換し合うようなことは少ないです。 見せ合うことはあっても、ほしいとは思わないんですよね。 ほしいと思うよりも、自分も行こうってなります。」
――だからこそ撮り鉄を狙った業者はいないだろうと?
「ええ、そういう写真はいりません(笑)。 何事も自分でという考え方は鉄オタ全体にあると思います。 乗り鉄も自分が電車に乗るというのが最重要ですし、食べ鉄だって自分で買ったご当地駅弁などを自分で選んだ電車で食べたいっていうのがこだわりとしてあるはず。」
――なるほど、ということは「キチ鉄」たちは鉄オタ自身から生まれたガンのような存在ということですか?
「ヤツらは本当に迷惑な存在です。 注意をしたくても、彼らと行動を共にしているわけではないですし、一人ひとりに注意なんてできません。 はっきり言って関係のない鉄オタたちまで偏見の目で見られてしまうので困ったものです。」
彼ら「キチ鉄」の存在はルールを知らない若い鉄オタが増えたころより少しあとから目立つようになりました。 鉄オタの一部が誰もルールを守らないならとヤケになったのか、それとも周囲への迷惑を考えられない人が鉄オタになったのかはわかりませんが、彼ら鉄道オタクたちにとっては治したくても治せない「悪性ガン」のような存在なんだと話してくれました。
こうした一部の暴走・問題行動が原因で他のオタクが迷惑をこうむるというのは鉄オタに限った話ではなく、2014年3月21日に大阪・日本橋で行われた「第10回ストリートフェスタ」では女性コスプレイヤーをローアングルで執拗に狙う撮影者が出没。 盗撮容疑で捕まった人もいるという情報もあり、「それみたことか!」とコスプレイヤーとカメラマンたちに避難が殺到しました。
「あんなヤツらは仲間じゃない!一緒にしないでくれ!」と叫んだところで無駄だというのはオタクはよく知っているはず。 ならば行動。大切なものを守るためにも私たちオタクの中からアクションを起こさなければいけないのでしょう。