いまや、大学生でさえ半数が全く本を読まないという時代。日本の未来が心配になるが、読書をするだけで、アドバンテージを得る可能性がある時代ともいえる。「Netflix」「YouTube」「TVer」「TikTok」など、さまざまな映像サービスを利用するのに忙しいから、本などに割く暇はない、という気持ちも分かる。しかし、文章を読むことでしか培われないチカラがある。文章からイメージを構築するチカラだ。イメージを文章にするチカラもはぐくむ。このチカラは、映画やYouTubeなどの映像を受け身で見ている人には備わらない。この「言葉で説明できる」能力は、これからとても重要になる。ChatGPTなどの生成系AIを使いこなすためには、「言葉で説明して指示をする」能力が必須だからだ。今からでも遅くはない。Netflixを視聴しているiPhoneが、有意義な読書へと誘ってくれるパートナーになってくれるのだ。
本を詠んだ方が良い理由は分かった、でも面倒くさい
ChatGPTを使いこなす能力を高めるために本を読むのが良いことは分かったけれど、そもそも本を読むのって面倒くさい。
こういう人は多いだろう。活字を読むのに慣れていないと、文字を追うだけでもつらいし、本を持ち歩くのも面倒。そんな人に、おすすめの読書法がある。それは聞く読書、オーディオブックだ。
オーディオブックは、しゃべりのプロが本を朗読してくれるサービス。これなら、活字を追うことなく、聞き流すことで読書ができる。
小説やドキュメンタリーなどのストーリーを追う作品には向いているが、ビジネス書やサイエンス書など図版が必要だったり、数式が出てくるものだったりする本はちょっと厳しい。そこでオーディオブック。しかも、書店では手に取らないようなサイエンス書と出会えるのもオーディオブックの良いところだ。さっと聞き流して、「これはおもしろい!」と思ったら、改めて紙の本を買えば良い。
実用書やサイエンス書は、何度も繰り返して読める本なので、まずはオーディオブックで「下読み」をして、気に入ったものをセレクトしてから紙の本を購入するという流れはとても有効だと思う。ちなみに、筆者が愛用しているオーディオブックのサービスはAmazon「Audible」の聞き放題プランだ。
月額1500円で、何冊でも好きなだけ聴ける。小説からビジネス書、実用書、自己啓発本、サイエンス書まで、非常に幅広くラインアップされていて飽きさせない。本が出版されてから朗読をレコーディングするということから、発行してしばらく経ってからの作品が多いが、それがまた良い本との縁を結んでくれることもある。
また、オーディオブックサービスには日本の企業が提供している「audiobook.jp」もある。
こちらは月額833円と、Audibleよりも安くサービスを利用できる。作品、はAudible、audiobook.jpどちらかにしかないものもあるので、気になる本の取り扱いがある方を選べばいいだろう。
読書が楽しくなってきたら電子書籍にチャレンジ
オーディオブックで読書が楽しくなってきたら、「文字でも読んでみたい」と思った本を買ってみよう。何といっても、おすすめは電子書籍だ。オーディオブックを聴いているiPhoneで、すぐに買える手軽さが良い。電子書籍サービスはいろいろあるが、一番利用されているのは「Amazon Kindle」だろう。iPhoneにKindleアプリを入れておけば、オーディオブック端末が電子書籍端末に早変わりだ。
電子書籍の良い点はたくさんあるが、筆者が特に気に入っていることは三つある。
一つめは、紙の本よりも安いことだ。出たばかりの本でも、Kindle版は紙の本よりも若干安いことが多い。しかも、毎日のようにセールをやっていて、半額以下で入手できることもある。筆者はセール情報を掲載しているWebサイトを毎日チェックしていて、セール品の中に気になる本があったら買うようにしている。これも、予想外の本と出会える楽しみがある。なお、毎日チェックしている電子ブックセール情報サイトは「キンセリ( https://yapi.ta2o.net/kndlsl/ )」だ。
二つめは、iPhoneの中に何百冊もの本を入れている、という安心感。カフェに行くとき、旅行に行くときなど、紙の本の場合はどの本を持っていこうかと悩むのだが、Kindleなら全部持っているという安心感があるのが良い。
三つめは、本に自由に書き込みができることだ。筆者は、紙の本にマーカーやらコメントやらで書き込むことができないタイプ。本は奇麗にしておきたいのだが、電子書籍ならマーカー引き放題、書き込みし放題なのがうれしい。
読書量を増やすためのステキなアプリ「Bookly」
読書が好きになってきたら、もっと本を読みたいという気分になってくるだろう。そこで使ってほしいのが、読書管理アプリ「Bookly」だ。本をどんどん読みたくなる工夫がちりばめられているので、もっと読書したい人におすすめなのだ。
ただ、残念ながら英語版しかないので、英語が苦手な人にはちょっととっつきにくい。でも、そんなに難しい機能はないので、英語が分からなくてもすぐに使いこなせるだろう。
筆者が気に入っているBooklyの機能をいくつか紹介しよう。
本の登録
本の登録は書籍コード(本の裏表紙にあるバーコード)を読み込ませることで、簡単に登録できる。ただ、英語圏のアプリのためか書籍コードがうまく読めないこともある。そんなときは、書名で検索して登録することもできる。蔵書登録画面は、本の表紙の絵を左右にフリックすることでクルクルと本が回転する。そのインターフェースがステキだ。
読書スピードの計測
登録した本は、読み始めるときにスタートボタンをタップすることでタイマーが起動する。タイマーで時間を計る行為は、それだけで読書をガンガン進めるぞ、という気分にさせてくれる。
本を読むことを止めたら、アプリのタイマーもストップさせよう。その際、読み進んだページ番号を入れる画面が表示される。
タイマーで計測した時間中に何ページ読んだかを計算し、本の読了までの予測時間を表示してくれるのだ。これも、本を読むモチベーションにつながる。
読書の振り返り
ページ数を入れたら、ここまで読んだ内容についての振り返りを入力する画面になる。筆者は、読書中に気にいった箇所をメモアプリなどに抜き書きして読書ノートを作っているので、その抜き書きをここにペーストするようにしている。
この振り返りの内容は、一覧で確認できるので、読了後にどんな本だったかを総括することができる。読了後にどれぐらいのスピードで読めたかのインフォグラフを作ってくれる機能もあるので、これを読書記録としてInstagramなどに投稿するのも楽しい。
読書のためのガジェットいろいろ
ここまで、読書を楽しむためのアプリについて紹介してきた。最後は、ハードウェアをいくつか紹介したい。
まず、読書をより有用なものにするには、読書メモが欠かせない。Booklyの振り返りに記入するためには、手書きではなくデジタルでのメモが必須にある。そこでメモ入力に使いたいのが外付けキーボードだ。自宅などで読書する場合は音声入力が手っ取り早いが、カフェなどの公共の場所で音声入力はちょっと、という人に必須のテキスト入力ガジェットである。
筆者が愛用しているのは以下の三つ。
Microsoft foldable Keyboard
もう廃番のもので恐縮だが、超薄型でサイズ的にはほぼフルサイズになる携帯型キーボード。こんなに薄いのにしっかりと打鍵感とストロークがあるので、カフェで使うのに重宝している。
折り畳みキーボード「3E-BKY6」
これまた生産終了品で恐縮だが、非常にスリムでしかも剛性感のあるボディが魅力の超小型キーボードである。フルサイズの3分の2ぐらいのサイズのため、滑らかなキー入力には若干の慣れが必要。バックに気軽に放りこんでおけるので、これも近所のカフェ用に使っている。
HHKB Professional HYBRID
毎日デスクトップで使っているキーボード。出張とか泊りがけで出かけるときは、これを持ち出すこともある。大量に文章を書きたい場合は、頼もしい相棒。読書メモとしては、デスクトップPCでkindle書籍を読みながらの記録時に使うことがメイン。
外部キーボードではないが、カフェでしっかりとテキストを打ち込みたいな、と思ったときに持ち出すのがポメラ「DM20」。スマホでKindle書籍を表示しながら、読書メモがとれるのも良い。打ち込んだテキストは、iPhoneアプリ「Pomera QR」でスマホに吸い上げて、メモアプリにペーストする。
おまけのガジェット
さて、最後の最後におまけのガジェットも紹介しておこう。
コクヨ「本に寄り添う文鎮」
紙の本をカフェで読みながら、ポメラなどで読書メモをつけるときに助かる読書補助具だ。無骨な鉄の棒なのだが、本を押さえやすい形になっていて、本に沿わせるように文鎮を置くことで、読んでいるページをしっかりと押さえてくれる。読書メモをつけたいページを開かせておけるので、テキスト入力を落ち着いてできるすぐれものだ。
本好きが一人でも増えてほしい
デジタルツールからハードウェアまで、読書にまつわるものを紹介してきた。この記事で、本好きが一人でも増やせたならば幸いである。(3Dデザイナーズスクール https://3dschool.jp/ 学長・西脇 功)
西脇 功
3Dデザイナーズスクール(https://3dschool.jp/)学長。製薬会社勤務を経て、1987年にApple社のMacintoshに出会いコンピュータ業界へと転進。IT系企業数社でコンテンツマーケティング、広報・宣伝のプロとして活動。製品導入事例の執筆、オウンドメディアのWebサイト立ち上げからコンテンツ作成までを一人で担当。2020年独立し、合同会社天使の時間を設立。3DCGソフト活用のためのオンラインスクール運営や、Webメディアへの記事執筆を行っている。