会社員の方は、一人につき所得税3万円・住民税1万円の合計4万円減税する「定額減税」の適用で、今年6月や7月支給の手取り給与は通常より多かったはずだ。この定額減税の給与・賞与ごとの適用額は一人ひとり異なり、記者の場合、8月支給の給与から通常通りに戻った。そこで今回は、さらなる物価高騰や電気代の値上がりに備えるべく、「ポイ活」を中心とした「節約の4カ条」をまとめた。
分かりにくい6月~7月に適用された定額減税(適用時期・期間は人によって異なる)。
会社員は給与明細で確認しよう
徹底したポイ活でまずは節約を!
まず、キャッシュレス決済サービス(コード決済・電子マネー・タッチ決済を含むクレジットカード)の利用を徹底し、ポイントカード・アプリの提示の提示でポイントがたまる店では忘れずにポイントカードを出してポイントをためよう。
家計節約4カ条・その1
原則キャッシュレス決済オンリー・どこでもポイントをためるべし!
例えば、現金決済オンリーのスーパーとキャッシュレス決済が利用可能なドラッグストアが隣接しているなら、ほぼ同じ価格の商品は面倒でも後者のドラッグストアで購入し、現金決済の店舗の利用は「地域最安商品」の購入に限るように心がけたい。
家計節約4カ条・その2
【地域限定・関東エリアの場合】JR東日本線はモバイルSuicaで、一部の私鉄はモバイルPASMOで乗ろう
JR東日本は、Suicaエリア内のJR東日本線の乗車に対し、運賃に応じてJRE POINTを付与している(在来線乗車ポイント)。ただし、カード型SuicaとモバイルSuica(Apple PayのSuicaを含む)でポイント進呈率に差をつけ、2%還元(50円につき1ポイント付与)のモバイルSuicaのほうがお得だ。さらに、同一運賃区間の月間利用回数に応じてポイント還元する「リピートポイントサービス」も展開しており、節約を心がけるなら、鉄道・バスの乗車は、お得なフリーきっぷがある場合を除き、交通系IC一択だ。
Suicaエリア内のJR東日本線の乗車は「モバイルSuica」がお得
一方、小田急電鉄や東京メトロでは、JR東日本の「リピートポイントサービス」に相当するサービスはPASMO限定のため(東武鉄道の「リピートマイル」はモバイルPASMO限定)、JR東日本の路線から、登録済みPASMOの乗車でポイントがたまるメトロ・私鉄線に乗り換える場合は、PASMOとSuicaの使い分けが必要となる。この仕組み上、残念ながら、JRと対象私鉄の直通線(同一ホーム乗り換え含む)に乗車する場合は、どちらかのポイント獲得は諦めるしかない。
前述の通り、JR東日本はモバイルSuicaで乗車すると常時2%ポイント還元となるため、迷ったら基本的にモバイルSuicaを選んだほうがお得だ。モバイルSuicaとモバイルPASMOの併用方法は「iPhoneとAndroid、iPhoneとApple Watchなど端末を変える」「エクスプレスカード設定を利用して同じ端末で使い分ける/切り替える」「PASMOはカード型にする(メトロ以外の路線は利用しない場合)」など。長時間の電車移動時のバッテリ切れ対策を兼ね、個人的には「端末2台持ち」をおすすめしたい。
「エクスプレスカード設定」を利用すれば、
モバイルSuica/モバイルPASMO/モバイルICOCAは共存(使い分け)できる
鉄道会社によりポイント還元の条件は異なるが、おおむね同一運賃区間月6回以上の利用を目安に、リピートポイントの条件を達成する可能性のある路線のポイントサービスは、面倒でも会員登録して乗車ポイントをためるとお得だ。特に1乗車あたりの運賃が高い、つまり長距離の乗車ほど、ポイントサービス登録の有無によって実質負担が大きく変わってくるからだ。なお、今後は、交通系IC・きっぷに続く、第3の選択肢としてクレジットカードなどの「タッチ決済」を利用可能な交通機関(駅)が急増すると予想される。
家計節約4カ条・その3
不要なサブスクはただちに解約・キャンペーンを利用して契約すべし!
さまざまな月額課金制(サブスクリプション)サービスのうち、オンラインで簡単に解約できるものは、利用しなくなった際はただちに解約しよう。たいてい再開も簡単なので、月単位で契約・利用状況を見直すと余計な出費を減らせる。
問題は、電話や窓口でなければ解約できず、再開する場合は新規入会の扱いになってしまう月額課金制サービス。消費者保護の観点から、個人と企業・施設間の契約の解約手続きのオンラインフォーム対応を義務付けてほしいという意見も出ている。ぜひ数年のうちに実現してほしいところだ。
家計節約4カ条・その4
資産形成でポイントゲット! 「貯蓄から投資へ」
一部のオンライン証券会社・クレジットカード会社などが「クレカ積立」と呼ぶ、オンライン証券会社が指定したクレジットカード決済による投資信託の積立購入サービスは、買い物に代表される「消費」ではなく、教育・老後資金などを目的とした「資産形成」でポイントが獲得できるため、賢く使いこなすと実質的な負担軽減となる。
楽天カード×楽天証券を例に挙げると、楽天カードなどからチャージしたオンライン電子マネー「楽天キャッシュ」で投資信託を購入すると、約定金額や保有残高に応じて楽天ポイントがもらえる。こうして獲得した楽天ポイントはスマートフォン(スマホ)決済サービス「楽天ペイ」の支払いに充当できるので、もし投資信託の購入・保有だけで毎月の楽天ペイの支払い分に相当するポイントを獲得できれば新たな現金の支払いはゼロになる。
楽天カード×楽天証券の「クレカ積立」の積み立て上限は月10万円。
「楽天キャッシュで投信積立」と組み合わせると毎月最大15万円まで積み立てられる
(楽天証券の公式サイトより)
家計節約4か条に共通するのは、ポイント獲得の最大化に向け、面倒や手間を惜しまないこと。モバイルSuica/PASMO/ICOCAを登録するなど、スマホの使いこなしこそ節約の一歩といえる。スマホを保有する最大の意義は、今や通話・メッセージではなく、サイフ代わりの「決済・ポイント」といえるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)