冷やっこに「かつお節」、ミートソースに「粉チーズ」、納豆に「海苔」……。
普段、ほとんど条件反射のように加えている、これらのトッピング食材。
たまに、「まあ、なくてもいいかも」と思ってそれらを加えずに食べ始めたら、なんとなく味が物足りない……。そんな経験、おありなのでは? そしてこう思うのです。「トッピング食材、あなどるなかれ」と。
一見、ただの飾りやオプションと思われがちですが、彼らがいかに料理において重要な役割を果たしていたか、に気づくことでしょう。彼らこそ、美味しさパフォーマンスを高めてくれる、いわば"うま味"系トッピングなのですよ。
では、“うま味”とは?
“うま味”とは、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」に次ぐ基本味、いわゆる“五味”のひとつとされています。つまり、料理の美味しさを形づくる基本的な要素と言えます。私たちの多くが「おいしいなー♪」と感じる、例えばカレーにお寿司、お好み焼きに肉じゃが。これらの定番人気メニューは、よくよく考えてみると大抵、これらのバランスがうまい具合に、さりげなく見事に整っている、ということに気づきます。これらの基本味に、さらに「辛味」や「渋味」、そしてそれぞれの食材が持つ独特の風味が重なり合うことで、より奥深い美味しさワールドへといざなわれていく、というわけです。
ここで。
「“うま味”ってほかの4つの味と雰囲気違くない?同格なの?」と思われた方。
たしかに“うま味”は、「甘味」や「塩味」に比べると、はっきりしない味ですよね……。並べてみると、やや違和感があります。実際のところ、この“うま味”、長らく味として認めてもらえない時代がありました。
東京帝国大学の池田菊苗博士が、うま味成分である「グルタミン酸」を世界で初めて発見し、それを“うま味”と名付けたのが1908年。しかし当時の世界が示した反応は「???(→なにそれ、みたいな)」。それでも日本人研究者たちは、うま味成分の研究やら何やら、素晴らしい科学的アプローチを展開し、その後も“うま味のスゴさ”を世界に発信し続けます。
そして。
20世紀の後半、科学的にその存在が徐々に明らかになり、美味しさの演出に欠かせないものとして重んじられるようになって、ようやく5つめの“基本味”に仲間入り。今や世界中のシェフからも注目される、日本が誇るグローバル言語“UMAMI”に成長……。こうして、「味」として認められるようになったそうです。
“うま味”はまた、食べた後に美味しさの余韻を残す、というのもポイント。
舌の中には、それぞれの味覚を感知する場所があり、甘味や塩味は、舌の先端の方で感じとります。一方、“うま味”は舌全体で感じとり、しかも、食べた後にも口の中に長く味がとどまる、という特徴があるのです。最後に残るは、“うま味”―。つまりは、「おいしくてとても幸せ」、な感覚が口いっぱいにじんわりと広がるため、食後の満足度に大きく関わってくる、というわけなのです。