「ウギャッ!痛い!・・・ん? 美味しい!」。口内を引き裂かれるような痛みに悶え、つんざくような辛さを噛み締めると、豚の旨みとコショウ独特の香りがふわっと鼻腔に伝播する。
だが、未曾有の辛さに体は無意識に強張り、辛うじてできたアクションはサムズアップもどき。唐辛子ペーストが太麺にまとわりついているものだから、唇はビリビリとした刺激を保ち、笑顔はどうにもぎこちない。
一口ごとに本能的に水を求めてしまう。だが、本来口内環境を一新するはずの水だが、今回に限っては唐辛子の存在感を際立たせるだけで、その本分は尽くさず。
筆者がタンタンメンと手合せいただいている最中、ご主人と奥さんが幾度と声をかけてくれる。時間は19時。常連客で賑わってきた店内を観察すると、ご主人たちはどのお客とも軽快に言葉を交わしている。その様子に、口内の痛みが和らぐような心持ちになる。
初めての店にありがちな新参者特有の肩身の狭さというものは、こちらのお店では杞憂の域を出ない。
なんやかんや、麺をすべて食べ終えた。
本来スープが残ればグイっと勝負を決めるが、いかんせん残るのは唐辛子そのもの。幾度もレンゲを口に運ぶが当然むせ返る。実は、目の前に編集長吉田がそびえ立ち「ぜ・ん・ぶ」と視線を向けている。
食べたい。辛さは問題ではない。だが、麺とともに1リットル近い水分を補給していたため、スープを半分残し忸怩たる思いでレンゲを置いた。
ちなみに、この120倍タンタンメンはどのくらいの辛さなのだろうか。先ごろの記事「八ちゃんラーメン」の辛さを知るはまれぽ編集長吉田は、辛さ120倍タンタンメンを口にして一言。「辛さだけで言ったら八ちゃんラーメンの方が断然辛いな!」
今回、辛さを比較する趣旨のキニナルではないが、辛さで比較した場合「隆翔の辛さ120倍タンタンメン<八ちゃんラーメン6倍」だという事を激辛マニアの方のために小さくお伝えする。
取材を終えて
取材から数日後、ご主人から伺った話をご紹介する。筆者が伺った翌日のことだ。120倍の生みの親でもある常連客が同店を訪れ、いつにも増して辛さを求めた結果、ついに辛さ「150倍」タンタンメンが生まれてしまったというのである。
今回のキニナルのきっかけともなった件のお客も興味深いが、ご主人とのせめぎ合いはこの先もとどまる気配がなさそうだ。
◆隆翔
住所/神奈川県横浜市西区浜松町11-28 パピリオーテ101
電話/045-777-4236アクセス西横浜駅より徒歩約3分
営業時間/ランチ 11:30~15:00(L.O.14:50)、ディナー 17:30~24:00(L.O.23:30)
定休日/月曜日
※本記事は2013年6月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。