キノコの形の「シャンピニオン」。幻想的な気分にひたりたい時に最適

森田さんの制作の拠点は神戸。春日野道から北へ、山側を目指して歩くと、フランス+北欧アンティークの雑貨店「Casa-nonna(カーサ・ノンナ)」が現れます。この店の奥のスペースが、ここを拠点としてまだ一か月という「モリタ製パン所」。パン屋さんではなく、本物のパンを素材としたインテリア雑貨を作っている、世にも珍しいアトリエです。

森田さんは週の前半は寝具デザイナー、後半は“おいしいあかり”こと「パンプシェード」を作るアーティストという、ふたつの顔を持っています。これまでは自宅で制作をしていたのですが、部屋中がパンだらけになって大変だった様子。そして今年5月、遂にここ神戸に念願のアトリエをオープンさせました。

素材となるパンは、ひし形の「クッペ」、丸い「プチブール」、きのこの形をした「シャンピニオン」、長さ約50cmほどのフランスパン「バタール」、そして「クロワッサン」。すべて京都のパンの銘店「進々堂」に特注したものを使います。

「初期はパンそのものも自分で手作りしていたんですが、進々堂のパンは見た目も愛らしくて大好きだったので、お願いすることにしました」。

 

パンに囲まれ、基盤をハンダ付けする森田さん。シュールな光景

そしてオーダーしたパンはさまざまな工程を経て、およそ一か月かけてランプに姿を変えます。先ずパンの中身をくりぬいて一週間ほど乾燥させます。
「外皮のみを使うので、中身はすべて私と家族で食べています」。
おかげで冷蔵庫は常にパンでパンパン。なかなか困ったことになっているとか。

続いて空けた穴にLEDと電池とスイッチをセットします。森田さんはこの作業を行うために、照明器具を安全に製造販売するうえで必要な資格をすべて取得しました。

 

ひとつひとつ手作り。スイッチを入れるとパンが新たな命を宿したように光を放つ

今度は、あかりを挿しこんだパンを樹脂でコーティングをします。パンによってバターの含有量が異なるため、使う樹脂もそれに合わせて変えてゆくという凝りよう。

「パンプシェードを作り始めておよそ7年になりますが、ぴったり合う樹脂に巡り合えたのは今年に入ってやっとなんです。それまで試行錯誤を繰り返していました」。