【ラスベガス発】富士フイルムは、米国時間の1月11日、「2012 International CES(CES 2012)」開幕前日の記者会見で発表したミラーレスのレンズ交換式カメラ「FUJIFILM X-Pro1」の販売戦略を説明するため、米国・ラスベガスで日本の報道関係者を集めて記者会見を開いた。「ミラーレス一眼カメラ」ではなく、「レンズ交換式プレミアムカメラ」との表現でユーザーにアピール。2月に発売し、初年度に15万~20万台の販売を狙う。
今回、富士フイルムがミラーレス一眼市場に参入したのは、コンパクトデジタルカメラの販売が鈍化しているためだ。電子映像事業部の松本雅岳次長兼営業部長は、「レンズ交換式カメラの発売は3年前から考えていた。しかし、急に出したところで、市場は受け入れてくれない。そこで、これまで段階を踏んできた」という。「段階」とは、まず昨年3月5日、クラシカルなボディにAPS-CサイズのCMOSセンサと23mm/F2の単焦点レンズを搭載した「X100」を、続いて10月22日に同じデザインテイストで2/3型EXR CMOSセンサと4倍マニュアルズームレンズを備えた「X10」を、そして12月7日に2/3型EXR CMOSセンサと20倍マニュアルズームレンズを備えた「X-S1」を発売してきたことを指す。いずれも、フィルムカメラのようなデザインと専用設計のレンズ「フジノン」で人気を集めている高級コンパクトデジカメだ。
「X100」は、女性の購入比率が40%とユーザー層を広げることに成功し、初年度の販売台数は10万台に達する見通しだ。「X10」は「X100」の弟分として幅広い層が購入し、「販売は好調。初年度販売台数は30万台を見込んでいるが、現時点ですでに12万台に達している。販売目標は確実にクリアできる」(松本次長)と、こちらも絶好調。「X-S1」は、まだ発売から日は浅いが、「順調に推移している」という。このような段階を踏んで、「Xシリーズ第一弾の集大成」としてレンズ交換式の発売に踏み切ったのだ。
松本次長は、「X-Pro1」を「プロの要求に応えて十分に満足のいく撮影ができる。また、プロ以外でも使いこなせる製品」と紹介。「他社製のミラーレス一眼と比べると、価格帯は倍になる」として、「レンズ交換式プレミアムカメラ」と位置付けて販売していく。
さらに富士フイルムは、「X100」ブラックボディと専用アクセサリをセットにした限定モデル「FUJIFILM X100 BLACKリミテッドエディション」を、世界で1万台販売することを発表。「今回のCESは、隣のブースがサムスンで、当社のブースは目立たない」と笑いながら話していた松本次長だったが、富士フイルム独自の高級デジカメ路線には、市場に大きなインパクトをもたらす可能性を感じた。