山田和樹 山田和樹

いま国内外で最も注目を集める日本人の若手指揮者・山田和樹による「マーラー・ツィクルス」が、2015年1月よりBunkamuraオーチャードホールでスタートする。

「山田和樹」の公演情報

マーラーの交響曲第1番から第9番まで番号順に、1年3曲ずつ、3年間にわたって取り上げるていく本企画。2015年は第1期「創生」、16年は第2期「深化」、17年は第3期「昇華」とタイトルを冠し、1公演ごとに武満徹作品をカップリングするのが特徴だ。

山田和樹にとって「自分の中で『それしかないだろう』という選択が積み重なって実現した」という本企画。「オーチャードホールで何か演奏するなら、会場の響き、雰囲気、大きさなど色々な要因を鑑みて、最初に浮かんだのがマーラー。そして組み合わせるならマーラーの歌曲などではなく、武満さんの作品しかないだろうと。当然オーケストラは日本フィル。自分にとって全て『オンリー』なものが凝縮しました」と語る。

彼にとってマーラー作品に本格的に取り組むのは初となる今回。なかでも注目は武満作品とのカップリングだ。「武満作品は、まとまった機会にきちんと勉強したいという思いがありました。私は武満さんとは出会えなかった世代ですが、そのエッセンスを受け取っていきたい。武満さんとマーラーの音楽を掛け合わせて“日本から世界へ”発信できるようなプロジェクトになればと願っています」と意気込みを強く。

企画構成などについては、日本音楽界の偉大な先達―若杉弘、岩城宏之、武満徹、三善晃、山田一雄、渡邉曉雄のアイデアからヒントを貰った部分が多いという。「例えば、若杉先生は、3年かけて3つずつ交響曲を演奏する構成や、マーラーの交響曲第1番をハンブルク稿という珍しい版で演奏する取り組みも積極的に発信されていました。また(今回のツィクルス第1期の)交響曲第2番「復活」では、アマチュアの武蔵野合唱団と共演しますが、それはアマチュアの活動に対して非常に熱心だった山田一雄先生、渡邉曉雄先生たちが遺された功績からの結びつきを感じます」と、先人たちへの思いを馳せる。

本ツィクルスの演奏を務めるのは、山田和樹が2012年9月より正指揮者としてコンビを組み、“一番やりたいことが実現できるオーケストラ”と評す日本フィルハーモニー交響楽団。本プロジェクト発表とあわせ、正指揮者の任期がさらに2年延長(2015年9月~2017年8月)されることも決定した。「僕が始めて自分で演奏会のチケットを買って行ったのが、日本フィルの横浜定期演奏会でした。それ以来、毎回楽しみに通った思い出があります。それから僕は大学2年のときに、日本フィルの第500回の定期で、マーラー「千人の交響曲」を小林研一郎先生が指揮されたのですが、その打ち上げで『1000回定期は僕が指揮します』と宣言したんですが、その夢は今も抱き続けています」と、日本フィルへの熱い思いを語った。