ご機嫌につかっていた「iPlay 50 mini Pro」でタッチパネル不良が発生。中国に修理に出すことになった

中国・アリババグループの海外向け通販サイト「Aliexpress(アリエク)」をよく使っている。為替の変動や価格の調整などで、激安商品は以前ほど見かけなくなったが、まだまだ割安な商品は多い。何よりその圧倒的な品ぞろえはとても魅力的だ。しかし、買ったはいいが故障したら修理はどうすればいいの?と不安を感じている人もいるだろう。何度かAliexpressで不良交換や返金などを経験してきたが、今回初めて修理を依頼したので、その顛末をまとめた。

対象の製品は、8.4インチディスプレイのタブレット「iPlay 50 mini Pro」。中国・深センに本社を構える深セン市欧度利方科技有限公司のブランド、Alldocubeの製品だ。昨年の8月にAliexpressの販売店、Alldocube Tablet Official Storeから発売特価の1万8697円で購入した。解像度がWUXGA(1920×1200)。CPUにMediaTekのHelio G99を搭載し、メモリ8GB、ストレージは256GB。Wi-Fiに加えLTEにも対応する欲張りモデルだ。日常使いには快適に使用できていた。

購入後半年ほどたって、時々タッチパネルが反応しなくなる現象が起き始めた。それほど頻度は高くなく、発生しても電源の入り切りやカメラの立ち上げなどで解消するので、しばらくだましだまし使っていた。ところが、今年の4月頃からタッチパネル不良の頻度が高まってきた。実用に耐えなくなってきたため、修理することにした。ネット上では同様の不良に悩まされるも、自力で治したという猛者が複数現れ、修理方法なども公開されていた。私も同様に修理しようかと思ったが、ものは試し、ということで、中国のAlldocubeに修理を依頼してみることにしたわけだ。

6月30日、Aliexpressサイトの購入履歴中にある「販売者に連絡」欄に日本語で修理を依頼。しかし自動返信メッセージが返ってきただけだった。7月1日に、改めて英語で修理依頼すると、翌7月2日に英語で「不良の様子の動画を送れ」と返信があった。この「動画を送れ」はAliexpressで不良対応を依頼した後には、必ずと言っていいほど要求される「あるある」だ。その日のうちに動画を「販売者に連絡」欄にアップロードし、文字で不良状況概要を追記した。翌日には、動画を確認したらしく、製品を送ってくれれば修理するとの返答があった。製品を送れと言われても送り先も何もない。この辺りが中国メーカーらしい。改めて送り先を要求すると、詳細な住所などを知らせる返信があった。

7月4日、中国・シンセンの指示された送り先に実機を発送。小さい製品なので郵便局の「小形包装物・SAL 便」を使用した。700g以下で880円だった。併せて、INVOICEの写しを「販売者に連絡」欄に掲載、発送した旨を連絡。「起動後しばらく使っていて生じる不良であるため、短時間のテストで状況が再現しないと判断しないように」とのメッセージも併せて投稿した。その後、なぜか送り先の情報が削除されてしまったものの、「ok」と返答が返ってきた。

7月11日と17日に進捗の問い合わせをしたが返答なし。18日に「製品を受領し修理に回した。修理が終わったら連絡する」との返信があった。7月31日に再度進捗の問い合わせ。いつ頃になるか、めども聞いてみたが「修理が終わったら連絡する」との返答のみで、めどについての回答はなかった。8月3日に、修理が終わったとの連絡。併せて、Aliexpress Standard Sippinngを利用するため、1米ドルの「Compensation for price difference」を購入するよう求められた。システム上何か買ったことにしなければ、格安送料で発送できないためだろう。送料代わりとして支払うことにし、Aliexpress上で「Compensation for price difference」を購入。その後、Aliexpressから通常商品と同様の発送通知を受け取った。あとは他の商品購入と同じ流れで商品が発送され、8月10日修理品が到着した。動作確認すると、ディスプレイのタッチ不良は解消し、きちんと修理されたことがわかった。

6月30日に不具合対応を依頼して修理品の到着が8月4日、1カ月あまりで修理が完了した。海外に修理を依頼した割には、思いのほか早かったという印象だ。当初は、修理せずに代替品を送ってくるものと思っていた。しかしシリアルナンバーは変わっておらず、本体にあった特徴的なキズなどもそのままだった。しっかりと修理してくれたようだ。日本メーカーのように修理詳細についての情報開示はなかったが、ディスプレイ表面に保護フィルムなどが貼られていたため、ディスプレイパネルの交換による修理と思われる。製品の保証がどうなっていたかは忘れてしまったが、少なくとも1年以内であれば基本無料で修理してくれたわけだ。こちらからの送料とAliexpressからの発送手数料で1000円程度は支払ったが、これならまあ、許容範囲といえるだろう。

今回取り上げたAlldocubeのiPlay 50 mini Proだが、既に後継モデルの「iPlay 60 mini Pro」が発売されている。ネット上では、この秋にもCPUにQualcommの「Snapdragon 6 Gen 1」搭載の上位モデル「iPlay 70 mini Pro」が発売されるのでは、との噂もあり、相次いで新製品が登場している状況だ。また、Alldocubeの製品は、多くが日本のアマゾンでも購入できる。アマゾンで購入したほうが、不良交換などについては対応が早い。基本的にアマゾンで購入したほうがよさそうだ。時々Aliexpressのほうがかなり安く買える場合もあるので、値段を見て決めればいいだろう。

なお、Aliexpressで購入した製品の修理については、必ずしも全部の製品で今回のような同様の対応が得られるわけではない。Aliexpressは日本の楽天に似た通販サイトで、多くの販売店の集合体。販売店によって対応はまちまちだ。購入者が「不良だ」と言っても販売店が「それは不良じゃない」と主張し、意見が食い違う場合もある。その際にはAliexpressが仲介してくれる制度がある。一度利用したが、きちんと不良が認められ、フェアな判断をしてくれるという印象だった。不良を伝える動画については、不良の具合が分かるものであればなんでもいい。ただ、アップロードにとても時間がかかることは覚悟しておいてほしい。また、YouTubeにアップしてURLを送る、という方法も可能ではある。しかし、通常中国ではYouTubeは見られない。VPNなどを使って見る方法はあるが、販売店によってはYouTube動画は見られないと拒否されることもある。動画はAliexpressに直接アップするほうがいいだろう。

また、荷物の海外発送については、いろいろと面倒な手続きがあるが、日本郵便の「国際郵便マイページサービス」が便利だ。送り状などの作成を手助けしてくれる。ただ、今回利用した「小形包装物・SAL 便」は、荷物の追跡ができないサービスであることに、発送した後で気が付いた。先方に荷物が届いたか否かは、販売店を信用するしかなく、例え届いていても「届いていない」と、しらを切られたらそれまで。結局うやむやになって終わるのではと、不安な日々を送った。多少料金がかかっても荷物の追跡ができるサービスを利用したほうが、精神衛生上いいだろう。

また、Aliexpressのサイトは日本語でも利用できるので、販売店への連絡も日本語でしがちだが、やはり英語のほうが反応がいい。お互いカタコトだが、英語のほうが通りがいい印象だ。翻訳サイトなどを活用すれば、英語でのやり取りも苦にならないだろう。コツは、単刀直入にストレートな表現を使うこと。回りくどい言い方は通じない恐れもある。多少図々しいと思っても、ズバリと要望を伝えたほうが早い。海外と荷物のやり取りをする手間はあるが、中国の通販サイトで買った商品でも、しっかり修理できることがわかった。(BCN・道越一郎)