【マーケティング考_2】タブレット端末は小説や漫画といった電子書籍を読んだり、屋内で手軽にアプリを楽しむことが主な用途となる。しかし、大画面化するスマートフォンとノートPCに挟まれ、「微妙な立ち位置」だ。普及率も現状では4割に達せず伸び悩んでいるのは、そうした立ち位置が影響しているのではないだろうか。そこで、タブレット端末はどのくらいの画面サイズ、重量が適しているのかデータを用いて探る。
ノートPC、スマートフォン、タブレット端末の普及率推移
内閣府の消費動向調査を使い、ノートPCとタブレット端末(消費動向調査内では、タブレット型端末と表記)、スマートフォンの普及率を比較する。総世帯の集計で2014~24年までをグラフ化した。
ノートPCの普及率は7割前後とほぼフラットに推移している。また、スマートフォンは14年時点の45.2%から急速に普及し、24年は90.7%に到達。ノートPCを20ポイント近く上回る。
一方、14年のタブレット端末は16.8%とノートPCやスマートフォンよりも低い水準からスタート。これはタブレット端末が新規の市場だったことも影響している。
しかし、タブレット端末の普及率には、スマートフォンほどの勢いはない。スマートフォンは電話というインフラであるのに対し、タブレット端末はノートPCともスマートフォンのどっちつかずの端末というのがネックになっているのだろう。
タブレット端末の現在の立ち位置
ここで24年7月のBCNランキングを用い、1カ月で販売されたノートPCとタブレット端末、スマートフォンの重量と画面サイズをプロットしてみた。
ノートPCは1kg超、12インチ超の部分に大半の製品が集中する。一部、400-800g、6-9インチのところにも製品が集まっているのは、ポータブルゲーミングPCだ。
また、スマートフォンは200g、6インチ前後にプロットが集中する。タブレット端末は200-600g、8-14インチで、ノートPCとスマートフォンの間を埋める。
タブレット端末は500g前後、10インチが最適解
一見、棲み分けができているように見えるが、スマートフォンの折りたたみ式端末の登場などの大画面化により、小型のタブレット端末の立ち位置は、今後侵食される可能性がある。
また、タブレット端末も大画面化しているが、ノートPCの領域に踏み込む形となる。ノートPCの領域を侵食するためには、同等かそれ以上のスペックや使い勝手が求められる。ストレージ(補助記憶装置)の大容量化などで対応できるが、その分価格に反映されると、ノートPCの方が安くなる逆転現象も発生する。
こうした結果が、内閣府の消費動向調査の普及率の頭打ちに結びついていると言えそうだ。タブレット端末は500g前後で10インチ程度が最適解だろう。折りたたみ式のスマートフォンが出てきたとはいえ現状高価であることから、8インチ前後ではタブレット端末に分がある。
実際、Xiaomiは8.7インチで400gを少し切る端末を発売した。ノートPCでネット動画を閲覧するようなライトユーザーをうまく取り込むことで、タブレット端末は今より強固な立ち位置を確立できるのではないだろうか。(BCN総研・森英二)