「トラウマテクノポップ」を標榜するアルバム。アーバンギャルドが約2年ぶりにリリースした新作『鬱くしい国』のテーマはズバリ「日本」。リーダーの松永天馬氏が、新作の話から現代の若者についてまで、様々な話題について語りつくしたロングインタビューをお届けします。
――6月18日にリリースされたアルバム『鬱くしい国』ですが、インディーズ時代にリリースされた『少女都市計画』のように、これまでは「都市」「東京」をフィーチャーしていた感があるのですが、今回のテーマが「国」「日本」になった理由は?
松永:僕は東京出身なんですけど、大学は京都の同志社に通っていたんです。京都にいるときに「東京」なるものに強い望郷の念というか、自分のアイデンティティは東京にあるなと思い返すようになって。
そのときに都会=アーバンと前衛=アバンギャルドをかけた「アーバンギャルド」という名前を着想したんですね。ずいぶん昔のことなんですけど。
何故「少女」をテーマにしてるのかもあんまり自己分析をしたことがなかったんですけど、どうやら都市と関係があるなって最近思うようになって。
日本という国、東京という都市は、ある意味ではアメリカ以上に資本主義化されてしまった。何にでも値段のタグがついているような街になっている。色々端折って言えば、それは日本が無宗教だからだと思うんですが。
その東京のアイコンとして「少女」が機能していると思うんですよね。アイドルにしてもそうだし、初音ミクもそう。「萌え」要素があることによって、霊的な力が宿る。
だから「少女」と「都市」、それを拡大したものとしての「国家」。今回アルバムタイトルが「国」になった理由としては、震災以降、僕自身が社会に、自分の外側に対して思うことが増えたからだと思うんですよね。
それまではどちらかというと、「少女・サブカル」みたいな自分の世界を内々に表現して、それを共有できる内々の人たちに向けて発してるって感じだったんですけど、もう少し外に向けて発していきたいという気持ちが強くなった。