アーバンギャルドは繋がっていないものを繋げていく「メディア」でありたい
――ジャケットの会田誠さんもそうですが、『戦争を知りたい子供たち』に参加されている大槻ケンヂさん、『ワンピース心中』のMVを撮影した古賀学さん、様々な方とコラボレーションされていますよね。
アーバンギャルドは元々繋がっていないものを繋げていく「メディア」でありたいと常々考えていて。
「サブカル」ともよく揶揄されますけど、「サブカル」は音楽ジャンルじゃないからこそ「S-Fマガジン」や「夜想」からも声がかかったりする。
大槻さんと会田さんはこれまで同じ場所で仕事をされたことはないと思うのですが、同世代の全く異なるジャンルの二人がアーバンの作品でリンクする。
交わらない糸を手繰り寄せて、違和感なくカルチャーにできるというのがアーバンギャルドの強みなのかな。
――7月8日には「アイドルvs.ロック」と称してTHEポッシボー、LinQとの共演するイベントもありますね。
THEポッシボー、LinQ、ロック側はアーバンギャルドとDOMINO88でやります。2012年に僕らが「病めるアイドル五番勝負」と称してでんぱ組.incやBiSと2マン対決をしていた頃は物珍しかったけれど、今はアイドルとロックバンドが共演することも普通になってきていると思う。
今って音楽の経費がどんどん減っている時代じゃないですか。アイドルのステージってiPodひとつでできるから、それって今の時代超強いんですよ。
――まあ、バンドの場合ゴールデンボンバー以外は不可能ですよね。
iPodひとつでできるというのはインストアライブだったり外でライブをしたりする上でも、利便性があって。
バンドっていうものは楽器を運ばないといけないし準備に時間とお金がかかってしまう。 今の時代に不利な編成だと思うんですよね。
バンドがどのようにバンド感をキープしつつ時代の要望に応えていくべきなのか、これは最近の僕の課題ですね。
もちろん楽器をジャーンと鳴らせるに越したことはないけれど、例えばオケしか流せないところでどう楽しませるか、いろんな形を模索していきたい。
ジャンルを越えた他流試合のようなイベントも当たり前になってきている中で「アイドルってこう」「バンドってこう」みたいな固定観念はもっと崩していける。
これからはリアルもネットも「如何に作品を拡散させるか」が大事になっていくと思います。
――そして他流試合といえば、今週末(6月28日(土))にはcali≠gariとの日比谷野外大音楽堂での2マンライブも予定されていますね。
cali≠gariさんのファンも困惑したような対バンだと思うんですけど(笑)。
cali≠gariさんも「ヴィジュアル系」というジャンルにいながらも、そこにニューウェーブだったりゲイカルチャーが入っていて、独自の道を突っ走ってきた。
アーバンギャルドも一応「テクノ・ポップ」というジャンルということにはなっています。その一方でロキノン系の雑誌やフェスにも出たりするし、アイドルと対バンをしたりするけど、僕らもジャンルの畑のようなものがどこにもない。
どこにもアイデンティファイができない。
そういう意味ではアイデンティティ不在の2バンドの共演になる。非常に面白いと思います。