「三男の就職が決まり、肩の荷が下りたと思ったとき、夫から『離婚したい』と言われました。
仕事にかこつけて家庭を疎かにする夫とは10年以上しっかりと会話をした記憶がなく、離婚を考えていたことにまずびっくりしましたね。
『どうして別れたいの?』と尋ねたら、『この家に俺の居場所はない』と返ってきて、三男の大学の卒業式すら仕事を優先していた自分は棚上げするのかと、申し訳なさなどまったく感じなかったですね。
あなたは家族のことを考えていなかったでしょ、と言ったら『男は家族を養うために仕事を第一にするのが当たり前だ』と返ってきて、どうしてもこの人は自分を正当化することをやめられないのだなと、改めて思いました。
ただ、夫との離婚を私は考えておらず、夫婦水入らずになったら自分の好きなように過ごそうと思っていたので、いきなり身の振り方を考える必要が出てきて焦りました。
正直、こんな夫でも存在感がないからふたりきりでいることには抵抗はなかったので、離婚は『今さら』と感じる気持ちが強く、面倒ではありました。
幸い正社員で働いているので生活に困ることはなく、ひとまず市内の実家に身を寄せることを考えました。
年老いた両親もとびっくりしていましたが、夫に何かしてもらった記憶もなければ大騒ぎするほどのショックはないのですよね。
自分たちの離婚をどう受け止めるか、子どもたちの気持ちだけが心配で、夫にはさすがに『離婚することは自分であの子たちに伝えて』と言いました。
それが親としての責任だし、言い出したのであれば子どもたちに伝えるのは夫の役目です。
息子たちから連絡をもらいましたが、『お母さんがそれでいいなら』と言ってくれたのは、心強かったですね。
それから財産分与なども特に揉めずに離婚は成立して、今はすっきりした気持ちです。
あの頃、『今さら何で私がこんな面倒なことを』と思う気持ちが強かったですが、別れたら思った以上に気持ちが晴れていて、離婚してよかったなと思います」(50代/公務員)
自分から切り出すほど考えてはいなかったけれど、配偶者から離婚を言われても普通に受け入れられる、という人もいます。
お互いにこの自分は間違っていないという自負があれば、歩み寄ることは相当に難しいと感じました。
それなら離婚して別々の道を進むのが、幸せな老後のためともいえますね。